今日の環境分析 2024年1月11日

 昨日は、クロス円通貨の上昇が目立ちました。今年から始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)の活況の中、外貨資産への資金流入が強まっています。三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS(イーマクシス)Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)の9日の資金流入額は1000億円を超えた模様で、昨年12月の月間流入額に相当する資金が1日で流入したことになります。本日の米国の消費者物価指数の発表を前に様子見を決め込んでいた市場にとって、こうした個人投資家の外貨資産への資金流入はクロス円通貨の上昇に寄与することになったと思われます。実際、昨日はクロス円通貨が上昇上位を占めることになりました。

 通貨相関からも、その傾向を判断することができます。JPYの弱さが顕著となり、上記投資信託の投資対象となるメジャー通貨の強さが目立っています。本日の米国の消費者物価指数の発表を前に、ドルストレートは動きにくい展開にあります。メジャー通貨はともに強い状況にあることから、EUR・GBP対比での強さを消費者物価指数で判断できるようだと、発散の動きを強めることになると思います。JPYを含むメジャー通貨の動きに注目しています。

 強い通貨:EUR・GBP・USD
 弱い通貨:AUD・NZD・JPY

 日足   : AUD>EUR>CAD>NZD・GBP>USD>JPY
 4時間足 : EUR>GBP>USD>CAD>AUD>NZD>JPY

 本日発表される米国の消費者物価指数が今週最大の注目材料です。市場予想を上振れるとUSDの強さが再び強まることが想定されます。このところの米国の経済指標では早期利下げを容認できる材料に乏しいことから、米国金利の高止まりは続くと思われます。一方で、日本においては能登半島地震を受けて、早期の金融引締めは難しい状況になってきています。加えて、冒頭に述べたような新NISAにおける外貨資産への資金流入の動きは一段と高まることが想定されることから、継続的な円売り傾向になるものと思われます。とはいいいながら、金融政策の方向性は日米間で逆方向にあることは事実なため、長期的には方向感のつかみにくい状況にあると思われます。日経平均株価がバブル後の最高値を更新していることで、日本株式の注目度が内外で高まってきており、円高方向にも注意しておきたいと思います。