今日の環境分析 2023年3月20日

 今朝、スイスの金融大手UBSがクレディ・スイスの買収を決定しました。最悪の状況は回避されましたが、依然として金融システム不安を意識した展開が続いています。また、本日から少なくとも4月末まで、日本・米国・欧州の中央銀行6行は強調して市場へのUSDの資金供給を拡充することを発表しました。予防的措置とは判断できますが、それだけ現状の金融システム不安は深刻なものであることを裏付けていると思います。
 先週末金曜日は、JPY・NZD関連通貨が大きく動きました。金融システム不安を反映し、USD・EUR関連通貨は弱含みの展開となりました。

 通貨相関からは、JPYが最強通貨になってきました。NZDの強さも目立ちます。一方で、USD・EUR・CADの弱さが顕著になってきました。これらの通貨は、上位足から下位足まで方向感が揃ってきており、久しぶりに強弱感が明確になってきたと考えています。JPYを軸に通貨選択をしていきたいと思います。

 今週は、重要な経済指標が続きます。水曜日(日本時間木曜日未明)の米国、木曜日にスイスと英国の政策金利の発表があります。金曜日には、日本の消費者物価指数と欧米各国・地域のPMIが発表されます。それぞれの内容次第で大きく動く可能性があります。最大の注目は米国のFOMCの内容です。クレディ・スイスが買収されることが決定したことで、欧米の金融システム不安は最悪の状況から脱したものと思われます。このため、現時点では予定通り+0.25%の利上げ予想が強まっていますが、予断は許されない状況にあるため金融システム不安の動向には継続して注視したいと思います。
 本日は、日本銀行の今月9日から10日にかけて行われた金融決定会合における主な意見公表が行われます。また、ECB総裁の発言が予定されています。クレディ・スイスの危機回避をうけて欧州の金融システムへのコメントに注目しています。明日は日本が祝日であることから、JPYの動きには注意したいと思います。年度末が近づいているため、レパトリエーション(決算に向けて外貨を円に換えること)の想定外の円高の可能性に警戒しておきたいと思います。

今日の環境分析 2023年3月17日

 昨日、欧州中央銀行(ECB)は、0.5%の利上げをし、3会合連続の大幅利上げとなりました。クレディ・スイスなど現在の金融市場を注視しているとコメントしたものの、インフレ抑制を優先した結果、大幅利上げとなりました。
 米国ではファースト・リパブリック・バンクの経営不安がありましたが、他の大手銀行からの金融支援をうけて破綻懸念が解消しました。しかし、欧米の金融システム不安は依然として払拭されていないため、今後も警戒しておく必要があると考えています。
 昨日は、ボラティリティは高いものの、終値では大きな変動はなく、来週のFOMCや欧米の金融不安などを背景に様子見の展開になっています。

 通貨相関からは、USDやJPYは下位足で日足の方向性を否定する動きとなりました。NZD・EURは弱さが継続しています。EURの大幅利上げ継続があってもEURの強さにはつながらず、金融システム不安の強さを確認する結果となりました。下位足が上位足との調整の動きになっていることから、目先の動きを判断するのが難しい状況にあります。Mark`s Tradeでは日足でも4時間足でもほとんどサインの確認ができない状況になっています。週明けからの展開に期待したいと思います。

 本日は、米国のミシガン大消費者信頼感指数に注目ですが、重要度は低いと考えています。その他にも重要度の高い経済指標の発表はないため、本日は落ち着いた展開を想定しています。しかし、依然として欧米の金融システム不安が完全に解消されたわけではないため、警戒を怠らないようにしたいと思います。企業の悪い材料は週末から週初にかけて出る傾向があるので、週またぎのポジションは極力保有しないようにしたいと思います。

今日の環境分析 2023年3月16日

 昨日は、米国の金融システム不安が欧州に飛び火しました。スイスの金融大手クレディ・スイスの株価が急落し、先進国の株価が大きく下落しました。FXでは、USD・EUR・GBPが揃って大きく下落しました。クレディ・スイスに対してスイス中央銀行が全面支援を表明したことで、落ち着きを取り戻したものの、反発幅は限定的となりました。
 米国の小売売上高は2か月ぶりの-0.4%と下落しました。先日の消費者物価指数同様、サプライズとなる数値でなかったこともあり、市場への影響はありませんでした。
 リスクオフの動きが強まりJPYの強さが目立ったことから、クロス円通貨は軒並み1%を超える下落となりました。

 通貨相関からは、JPYが最強通貨になりました。日本を除く先進国が利上げを継続していることから、急激な金融引き締めを背景とした金融不安と考えられており、金融緩和を継続しているJPYの強さにつながっています。クロス円通貨に注目したいと思いますが、昨日大きく下落した後だけに、自律反発の動きを確認してから判断していく方針です。

 本日はECBの政策金利に注目です。クレディ・スイスの問題を受けて、欧州では他の銀行への信用不安が高まっています。欧州経済はインフレは継続しているものの、金融システム不安を背景にECBは慎重なスタンスに変わったと考えています。従来予想されていた0.5%の利上げから0.25%の利上げ幅に圧縮する可能性が高いと思います。FX市場の現状は、利上げ幅水準よりも利上げを継続してきたことによる弊害を確認する動きになっています。ECBの政策金利への警戒感は怠らずにいたいと思いますが、突発的に発生する事象やコメントにいつでも対応できるようにしたいと思います。瞬発的に対応できない状況にある場合は、見送りするのが最善の投資スタイルだと考えます。

今日の環境分析 2023年3月15日

 昨日発表された米国の消費者物価指数は、前年同月比+6.0%と市場予想と一致しました。8か月連続で伸び率は鈍化したものの、依然として高い水準にあります。銀行破綻による金融システム懸念はあるものの、来週のFOMCでは0.25%の利上げ継続の可能性が高まってきました。前日までの大きな変動への調整が強まり、下位足で発生していたトレンドを否定する動きになりました。

 通貨相関からは、GBPの強さが目立つようになりました。NZDも反発の動きを強めています。USDは足元の反発はあっても相対的な弱さは継続しています。通貨相関の動きからは、昨日の調整は一時的なものにすぎないと思われます。上位足から下位足へ方向感の揃った動きが、一段と明確になってくるものと考えています。

 本日は、米国の小売売上高に注目です。しかし、昨日の消費者物価指数同様、大きな変動をもたらすことはないと考えています。急速な金利上昇に伴う金融システム不安を警戒する動きが強いことから、金利上昇を背景とした通貨買いの動きは低減してくるものと思われます。

今日の環境分析 2023年3月14日

 今週から米国が夏時間になったことから、当欄の更新時間を1時間早めています。

 昨日は、米国のシリコンバレー銀行の破綻による金融システム崩壊懸念や利上げ継続方針の後退を受けて米金利が低下し、前週末に続きUSDが急落しました。ドル関連通貨全般に大きく変動した分、その他の通貨を比較的落ち着いた展開となりました。下位足で多くの通貨ペアでトレンドが発生しているため、この流れが上位足に波及してくるのかに注目しています。

 通貨相関からは、USDの弱さが顕著となりました。AUD・CADの弱さも継続している一方、JPY・EUR・GBPの強さが目立つようになりました。徐々に、上位足から下位足の動きが揃う傾向になりつつあります。マイナー通貨ではNZDに反発の動きがみられます。ドルストレートやクロス円通貨の動きに注目したいと思います。

 本日は、米国の消費者物価指数(CPI)が最大の注目です。従来の環境であれば、CPIの内容が大きな影響を与え、利上げ幅を引き上げUSDの強さが髙まる可能性がありました。しかし、米国ではシリコンバレー銀行以外にも破綻する銀行が出てきており、来週のFOMCにおいて利上げ幅の拡大の必要性が失われています。先週までは米国の政策金利は0.5%の引き上げ見通しが高まっていましたが、0.25%の引き上げにとどまりそうです。一部には、利上げ見送りの意見も出てきており、足元の金融システム不安の行方を注視したいと思います。どのような状況になるにせよ、USD安の動きが継続すると思われます。また、英国の失業率にも注目です。GBPの強さが加速するのか注視したいと思います。

今日の環境分析 2023年3月13日

 今週から、米国は夏時間に入りました。
 先週末は波乱にとんだ展開となりました。米国の雇用統計では、雇用者数の伸びは市場予想を大きく上回りましたが、失業率は上昇し平均賃金の伸びは鈍化しました。先週火曜日のFRB議長の議会証言で利上げの再加速の思惑が高まりましたが、雇用統計の内容はそれを後押しするほどのものにはなりませんでした。
 米国シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、金融危機を予兆しかねない状況になり、USD売りが加速しました。今週発表の消費者物価指数に注目が高いですが、SVBの破綻を受けて金融システム崩壊懸念から、金融政策は雇用環境や物価動向だけを要因として判断するのは困難になり、利上げ観測は後退してきています。

 通貨相関からは、週末の動きを受けて、下位足でUSDの弱さが際立ちました。メジャー通貨のなかでEUR・GBPの強さは継続しています。USDの弱さを受けてJPYの強さが目立つようになってきました。SVBの破綻を受けて米国の金融政策引締めのゴールが近づいたと思われ、金融引き締めを継続している欧州・英国や、これから新たな日銀体制の中で金融引締めの可能性の高い日本は、明らかに米国との金利上昇圧力の違いが出てきています。メジャー通貨の中からUSDは離脱したと思いますがEUR・GBP・JPYの強さは継続しており、金融引締めゴールの見えてきているマイナー通貨の弱さとの組み合わせに注目しています。

 今週は、火曜日に米国の消費者物価指数と英国の失業率、水曜日に米国の小売売上高と生産者物価指数、木曜日にECBの政策金利の発表があります。ともにきわめて重要な経済指標となるため、発表に向けた思惑的な動きが強まるものと思われます。特に、米国の消費者物価指数は、内容次第で利上げ幅を拡大させる可能性があるものの、米国FRB高官は21・22日のFOMCを前に発言を禁止されているブラックアウト期間に入ったため、SVB破綻が金融政策の方向性にどのように影響を与えるのか判断するのが難しくなってきました。
 木曜日のECBの政策金利にも注目です。利上げ継続方針とみられており、現時点の金融引き締め姿勢は米国以上に強いため、一段とEURの強さが目立ってくるものと思われます。
 本日は、重要度の高い経済指標の発表はありません。

今日の環境分析 2023年3月10日

 昨日は、前日に発表したカナダ中央銀行の利上げ停止を受けて、CAD関連通貨の下落が目立ちました。日本を除く先進国でこれまで続いてきた金融引き締めの動きが、各国の経済情勢の違いから金融政策の方向性に変化が出てきています。その典型例がCADの動きになって表れているように思われます。

 通貨相関からは、USDの強さが継続しており、EUR・GBPも堅調な展開になっています。ともに金融引き締めを継続する見通しであるため、金利差を意識した動きになっています。逆に、CADに代表されるようにAUD・NZDなどは金融引き締めのゴールを見越して、軟調な展開が続いています。強いメジャー通貨買いと弱いマイナー通貨売りを継続して注目しています。

 本日は、昼頃に発表される日銀の金融政策決定会合の内容に注目です。利上げの可能性はないと思いますが、イールドカーブコントロールへの対応など、金融緩和策の一部でも変更することが示唆されるとJPYの強さが加速すると思われます。一部の投資家はこうした動きを予想しているためか、足元のJPYの強さにつながっています。
 また、米国の雇用統計にも注目です。再来週に予定されているFOMCにおける利上げ幅を、決定づけることになると思われます。USDに関しては雇用統計の内容通りに沿った方向感で臨みたいと思います。しかし、週末金曜日でもあることから、慎重な投資姿勢を維持しておく必要があります。
 来週から、米国は夏時間に入ります。1時間前倒しになるため注意が必要です。欧州は米国より2週間遅れで夏時間になります。また、オーストラリアとニュージーランドは、4月2日からが冬時間です。

今日の環境分析 2023年3月9日

 昨日、カナダ中央銀行は、政策金利の据え置きを決定し、主要国で最初の利上げ停止となりました。再利上げの可能性は否定していないとするものの、年内の金利据え置きが予想されています。米国FRB議長は、前日に続き議会証言を下院で行い、前日同様に利上げ継続のコメントをしました。しかし、前日の過剰反応を意識したのか、今後の労働環境や物価の指標を参考に決定するとの文言を追加しました。

 通貨相関からは、USD・EUR・GBPのメジャー通貨の強さが継続しています。JPYは期間ごとにマチマチですが、強さが戻ってきています。一方で、マイナー通貨の弱さは、昨日のカナダの金利据え置きの動きに反映されるように、金融政策の先行性が反映していると思います。このため、強いメジャー通貨と弱いマイナー通貨の組み合わせに継続して注目しています。

 本日は、日本のGDP、中国の消費者物価指数、米国の新規失業保険申請件数に注目ですが、大きな動きを想定することは難しそうです。火曜日の大きな動きから1日おいたことで、目先の過熱感は解消してきており、動きやすい展開にあります。明日の米国の雇用統計の発表を意識した動きなると思われますが、大きな流れは継続していくと考えています。