今日の環境分析 2023年11月10日

 昨日、日本銀行は10月30日から31日にかけて開催された金融政策決定会合における主な意見を公表しました。議論の中では、「金利ある世界」と表現して金融緩和からの出口を模索しており、ゼロ金利解除は着実に近づいてきている模様です。また、FRB議長の発言があり、その内容はサプライズがなかったものの、「適切なら躊躇なく利上げ」とのタカ派発言に反応しドル高となり、USDJPYは151円台に再び乗せてきました。しかし、米国の新規失業保険申請件数は労働市場の冷え込みを確認する結果となったことから、再利上げの可能性を探るよりも、金利低下の時期を模索する動きに関心が高まっていると思われます。

 通貨相関からは、USD・EURの強さが継続しています。また、JPYの強さも回復しました。対して、マイナー通貨全般に弱い展開になってきました。依然として発散の動きを確認するのが困難な状況ですが、徐々に方向感が定まりつつあるように思われます。メジャー通貨の買いを軸に通貨選択をしたいと思います。

 本日は、オーストラリアの四半期金融政策報告や、英国の第3四半期GDP、米国のミシガン大学消費者信頼感指数に注目です。今週は、市場インパクトの大きい経済指標の発表がなかっただけに、ちょっとした変化に過剰な反応をすることがあるので警戒したいと思います。また、欧米の金融当局高官の発言が続いていることから、その内容にも注目しておきたいと思います。週明け月曜日はカナダは祝日となります。

今日の環境分析 2023年11月9日

 USDJPYは一時151円台を付け、EURJPY161円台と15年ぶりの水準まで円安が進んでいます。USDJPYは為替介入の警戒から上値は重い展開が続いていますが、介入懸念のないその他のクロス円通貨は、キャリートレードを目的とした円売りの動きが継続しています。前回の日銀金融政策決定会合において、イールドカーブコントロールの方針変更を行い、円安の動きには歯止めがききましたが、早くも剥落した様相です。ゼロ金利の解除など明確な利上げを示唆する内容でないと、円安の動きを止めるのは困難な状況にあるように思われます。しかし、一方で年末が近づき、ポジション整理からJPYの買い戻しの動きの可能性は高いため、一段の円安を想定しづらい状況にあります。

 通貨相関からは、マイナー通貨全般に弱い局面になってきました。これまで堅調だったAUD・NZDの弱さが目立っています。多くの通貨が上位足から下位足までの強弱関係が揃ってきていることから、発散の動きは強まってきていると思われます。まだ、下位足でも多くの通貨はトレンドの確認には到っていませんが、収束の動きはみられることからも発散の動きを期待したいと思います。

 本日は、米国FRB議長やECB総裁の発言が予定されており、その内容に注目しています。また、米国の新規失業保険申請件数にも注目です。先週の雇用統計で確認された労働環境の足元の状況を再確認することになるのか注意したいと思います。中国では消費者物価指数が発表されます。中国経済の動向を判断するうえでも注目しておきたいと思います。

今日の環境分析 2023年11月8日

 昨日は、オーストラリアの政策金利が発表され、市場予想通り6月以来となる+0.25%の利上げとなりました。インフレ長期化リスクを懸念した模様です。しかし、市場では利上げを織り込み済みだったようで、材料出尽くし感からAUDは急落しました。米国株式は堅調な展開になっており、その背景には米国金利の低下があります。このため、USDの弱さにつながっています。JPYは弱さが継続しているためクロス円は上昇していますが、USDJPYは介入警戒もあることから、頭の重たい展開になっています。全般に方向感のない状況になっているため、トレードをしづらい環境が続いています。

 通貨相関からは、USD・CADの弱さが継続しています。JPYも弱さが継続しており、EUR・GBPは堅調な展開になっています。AUDは昨日の急落で再び弱い通貨群に入ってきており、なかでもNZD対比での弱さが際立っています。上位足から下位足まで弱さの揃っているJPY・CADの売りに注目しています。ただし、USDJPYはUSDも弱いため、見送りたいと思います。

 本日は、主要な経済指標の発表はありませんが、金融当局の発言が続くことから警戒しておきたいと思います。市場へのインパクトは小さくても、個別の意見が徐々に集約されていくと大きな動きにつながります。小さな内容にも注意して耳を傾けておきたいと思います。方向感のつかみにくい展開になっており、様子見を基本姿勢にしています。

今日の環境分析 2023年11月7日

 昨日は、週末の米国雇用統計発表後の大きな変動を受けた週初だったものの、大きな変動はなく、通常の月曜日の大人しい動きとなりました。ボラティリティが低下し、小動きの推移となり、多くの通貨ペアで下位足に確認できていたトレンドの動きはいったん調整に入りました。収束の動きを強めており、発散に向けた準備段階に入ってきていると考えています。

 通貨相関からは、USDの弱さとともにJPY・CADも弱さが継続しています。AUD・NZDは堅調な展開となっており、EUR・GBPは中立的な動きになっています。メジャー通貨全般に弱さを確認できる状況にあることから、堅調なAUD・NZDを軸にした通貨選択をしたいと思います。ただし、AUDは昼過ぎに発表される政策金利の発表を待ちたいと思います。

 本日は、オーストラリアの政策金利に注目です。10月までは3回連続据え置いていますが、足元の消費者物価指数の上昇に伴い、今月は利上げ再開の可能性が高まっています。このところのAUDの強さは、こうした利上げを織り込んだ動きになっており、利上げ見送りとなった場合には急落に警戒したいと思います。また、注目度は低いですが、FRB高官の発言が相次ぎます。市場では、米国金利の再利上げはなく、来年の利下げを見込む動きが強まっています。先週FOMCを終えてブラックアウト期間が解除され、FRB高官の個々の考えが自由に発言されることから、市場への直接的な影響は少ないと思いますが注目したいと思います。

今日の環境分析 2023年11月6日

 週末金曜日に発表された米国の雇用統計では、雇用者数の伸びが15万人と市場予想の18万人から大きく下回り、米国の金融引締めの打ち止め感が強まりました。同時刻に発表されたカナダの雇用統計でも市場予想を下回りました。その後に発表された米国のISM非製造業景況指数は51.8と5か月ぶりの低水準となりました。景気停滞懸念が強まったことで長期金利が低下し、USD安の動きを加速しています。

 通貨相関からは、下位足でUSDが最弱通貨となりました。USDにつれてCADの弱さも目立っています。AUD・NZDの堅調さが続き、GBPは相対的な強さを確認することができます。JPYは対USDで反発の動きから最弱通貨を脱しました。EURは反落の動きを強めており、メジャー通貨全般に弱い動きになっています。AUD・NZDの強さを背景とした通貨選択をしたいと思います。また、USD安の動きからドルストレート通貨にも注目しています。

 今週は、火曜日のオーストラリア政策金利の発表や木曜日の10月末の日銀金融政策決定会合における主な意見が公表されます。また、同日(日本時間金曜日未明)のFRB議長の発言にも注目です。先週までと比べ、市場に大きなインパクトを与える経済指標の発表が少ないため、落ち着いた展開が想定されます。本日は、日銀総裁の発言に注目です。先週の金融政策決定会合において長短金利操作の柔軟性を高めた後だけに、総裁発言の隠れた真意を確認できるのか注目しています。依然として金融緩和継続と発言しているものの、金融緩和からの脱却の動きは明白なので、徐々に発言内容に変化が生じてくるものと考えているため注目しています。
 本日から米国時間は冬時間に入ります。このため、終値の表示は明日から日本時間朝7時時点のものに変更になります。

2023年10月の運用実績(スイングトレード)

10月は、1,114.5pipsとなりました。9月以上に方向感がつかみにくく、大きなトレンドで利益を確保することができませんでした。保有日数・平均収益が大幅に低下していることからもわかります。14勝3敗、勝率82.4%、平均収益65.6pips、保有日数4.0日となりました。

デイトレードの実績_2023年11月第1週

11月第1週は、9通貨ペアで+1,613.9pipsと4月第4週以来の水準となりました。100pips超えとなるトレードを複数回できたことが寄与しました。31回トレードし、27勝4敗、勝率87.1%となりました。9回トレードを見送っています。

デイトレードにおいては、1時間足のチャートを見るだけで、判断することができます。ノウハウは個別コンサルティングにて提供しています。ご興味のある方は、お問合せください。

今日の環境分析 2023年11月3日

  昨日発表された英国BOEの政策金利は、2会合連続となる金利据え置きとなりました。依然として上振れリスクが残されているものの、インフレが落ち着いてきたことが据え置きの根拠となっています。しかし、英国経済の停滞懸念の高まりから、これ以上の利上げは景気悪化につながりかねないとの判断があったものと思われます。中東情勢緊迫の長期化すれば、エネルギー価格の上昇に伴うインフレ再加速には警戒しているものと思われます。米国の新規失業保険申請件数は予想を上回り、労働市場の逼迫緩和を確認する結果となりました。これを受けて米国金利は低下傾向にあり、USDの下落につながっています。

 通貨相関からもUSDの弱さを確認できます。USD以上にJPYが弱いため、USDJPYの高止まりが続いています。EUR・GBPともに軟調な展開となり、相対的にマイナー通貨の堅調さが目立つ結果となりました。AUD・NZDは引き続き堅調なことから、これら関連通貨の強さが持続しています。マイナー通貨の強さを背景とした通貨選択をしたいと思います。

 本日は、米国の雇用統計に注目です。今週発表されている労働関連統計は労働市場の逼迫緩和の動きを見せており、雇用統計においても同様の結果が想定されます。その場合には、金利低下からUSDの一段安の可能性があります。雇用統計後に発表されるISM非製造業景況指数の内容も含めて、米国景気の行方を探っていきたいと思います。また、オーストラリアの小売売上高やカナダの失業率にも注目です。
 本日は日本は祝日のため、欧州時間からの値動きに警戒したいと思います。また、来週から米国は冬時間に入ります。このため、当欄の資料作成は1時間後ろ倒しになります。

今日の環境分析 2023年11月2日

 日本時間本日未明に発表されたFOMCの金融政策は、事前予想通りとなる2会合連続の利上げ見送りとなりました。その後のFRB総裁の記者会見では、データを忍耐強く見守ると述べるとともに景気後退の予測はないとの判断を示しました。追加の利上げを否定せず、利下げは現時点で考えていないと、従来の方針に変化は見られませんでした。先週発表された米国のGDPは堅調さを確認しているため、景気後退懸念が出てくるまでは金利高止まりを維持するものと思われます。しかし、昨日発表されたISM製造業景況指数は、市場予想の49.0を大きく下回る46.7となりました。景気の分岐点とされる50を12か月連続で割れていることから、米国経済の停滞に向けた動きが出てきているものと思われます。USDJPYは151円台後半まで上伸したものの、日本の金融当局からの為替介入への「スタンバイ」発言が出たことで150円台半ばまで反落しました。

 通貨相関からは、AUDの強さが際立っています。下位足から始まった反転の動きは上位足に波及してきており、強さが持続する可能性が高まってきました。AUDにつれてNZDも徐々に動き出してきました。JPY の弱さが継続していますが、為替介入の可能性を考えると安易に売り方向に考えることができません。落ち着くまではクロス円通貨には見送りしたいと思います。EURは反落しGBPの弱さは持続しています。ともに景気停滞懸念が強まっている地域・国なのでファンダメンタルズ面からの弱さを裏付けています。本日のBOEの政策金利の発表を確認した後、GBPの弱さに注目したいと思います。

 本日は、英国BOEの政策金利の発表に注目です。英国経済の停滞懸念が強まっていることで金利据え置きと想定されます。BOE総裁の発言内容に注意したいと思います。また、本日は米国の新規失業保険申請件数が発表されます。明日の米国の雇用統計の発表を前に、大きな変化が起きるのか注目しています。
 中東情勢の進捗が見られません。ウクライナ情勢も膠着しています。この2つの地域は、エネルギーと農産品価格に大きな影響を与えています。一段と悪化するようだと、エネルギー価格や食料品価格が上昇し、鎮静化がみられつつある世界的なインフレが再度加速する可能性を否定できません。こうした懸念がAUDの強さに表れているのかもしれません。