今日の環境分析 2023年11月15日

 昨日、米国の10月の消費者物価指数が発表され、前年同月比で+3.2%と市場予想の+3.3%を下回り、前月比では0%となりました。FRBの求める2%台には達していないものの、5か月連続で3%台となりインフレの落ち着きを確認することになりました。このため、米国の長期債券金利が低下し、12月のFOMCにおいては利上げの可能性は低下したとの判断が強まるとともに、来年の利下げの時期が早まるのではとの見方も高まりました。ドイツのZEW景況感調査では7か月ぶりにプラス圏となり、ドイツ経済の底入れとの見方が出てきました。欧州経済の足を引っ張っていたドイツだけに、底入れ確認できれば欧州経済の安定化につながります。そうなると、ECBはインフレ対策に特化した金融政策が可能となるため、欧州金利の高止まりにつながるものと思われます。

 通貨相関からは、USDの強さが一転して弱くなり、つれてCADも弱くなりました。中立的と考えていたJPYの弱さが目立つようになりました。USDも弱いためUSDJPYこそ下落しているものの、その他のクロス円通貨はJPYの弱さを背景に大きく上昇しています。EUR・GBPは強さを持続しており、AUD・NZDは中立的な位置づけになりました。EUR・GBPを軸に通貨選択をしたいと思います。

 本日は、米国の小売売上高と卸売物価指数に注目です。昨日の消費者物価指数ほどの市場インパクトはありませんが、消費者物価指数同様の結果になるようだとドル安の動きは加速されるものと思われます。また、英国の消費者物価指数や日本のGDPにも注目したいと思います。昨日の消費者物価指数の発表を契機に、市場にはトレンド指向の動きが強まったものと思われます。このため、今までになくちょっとした材料でも敏感に市場は反応することが想定されます。新たなトレンドの動きが持続するのか注目していきたいと思います。