今日の環境分析 2023年11月3日

  昨日発表された英国BOEの政策金利は、2会合連続となる金利据え置きとなりました。依然として上振れリスクが残されているものの、インフレが落ち着いてきたことが据え置きの根拠となっています。しかし、英国経済の停滞懸念の高まりから、これ以上の利上げは景気悪化につながりかねないとの判断があったものと思われます。中東情勢緊迫の長期化すれば、エネルギー価格の上昇に伴うインフレ再加速には警戒しているものと思われます。米国の新規失業保険申請件数は予想を上回り、労働市場の逼迫緩和を確認する結果となりました。これを受けて米国金利は低下傾向にあり、USDの下落につながっています。

 通貨相関からもUSDの弱さを確認できます。USD以上にJPYが弱いため、USDJPYの高止まりが続いています。EUR・GBPともに軟調な展開となり、相対的にマイナー通貨の堅調さが目立つ結果となりました。AUD・NZDは引き続き堅調なことから、これら関連通貨の強さが持続しています。マイナー通貨の強さを背景とした通貨選択をしたいと思います。

 本日は、米国の雇用統計に注目です。今週発表されている労働関連統計は労働市場の逼迫緩和の動きを見せており、雇用統計においても同様の結果が想定されます。その場合には、金利低下からUSDの一段安の可能性があります。雇用統計後に発表されるISM非製造業景況指数の内容も含めて、米国景気の行方を探っていきたいと思います。また、オーストラリアの小売売上高やカナダの失業率にも注目です。
 本日は日本は祝日のため、欧州時間からの値動きに警戒したいと思います。また、来週から米国は冬時間に入ります。このため、当欄の資料作成は1時間後ろ倒しになります。

今日の環境分析 2023年11月2日

 日本時間本日未明に発表されたFOMCの金融政策は、事前予想通りとなる2会合連続の利上げ見送りとなりました。その後のFRB総裁の記者会見では、データを忍耐強く見守ると述べるとともに景気後退の予測はないとの判断を示しました。追加の利上げを否定せず、利下げは現時点で考えていないと、従来の方針に変化は見られませんでした。先週発表された米国のGDPは堅調さを確認しているため、景気後退懸念が出てくるまでは金利高止まりを維持するものと思われます。しかし、昨日発表されたISM製造業景況指数は、市場予想の49.0を大きく下回る46.7となりました。景気の分岐点とされる50を12か月連続で割れていることから、米国経済の停滞に向けた動きが出てきているものと思われます。USDJPYは151円台後半まで上伸したものの、日本の金融当局からの為替介入への「スタンバイ」発言が出たことで150円台半ばまで反落しました。

 通貨相関からは、AUDの強さが際立っています。下位足から始まった反転の動きは上位足に波及してきており、強さが持続する可能性が高まってきました。AUDにつれてNZDも徐々に動き出してきました。JPY の弱さが継続していますが、為替介入の可能性を考えると安易に売り方向に考えることができません。落ち着くまではクロス円通貨には見送りしたいと思います。EURは反落しGBPの弱さは持続しています。ともに景気停滞懸念が強まっている地域・国なのでファンダメンタルズ面からの弱さを裏付けています。本日のBOEの政策金利の発表を確認した後、GBPの弱さに注目したいと思います。

 本日は、英国BOEの政策金利の発表に注目です。英国経済の停滞懸念が強まっていることで金利据え置きと想定されます。BOE総裁の発言内容に注意したいと思います。また、本日は米国の新規失業保険申請件数が発表されます。明日の米国の雇用統計の発表を前に、大きな変化が起きるのか注目しています。
 中東情勢の進捗が見られません。ウクライナ情勢も膠着しています。この2つの地域は、エネルギーと農産品価格に大きな影響を与えています。一段と悪化するようだと、エネルギー価格や食料品価格が上昇し、鎮静化がみられつつある世界的なインフレが再度加速する可能性を否定できません。こうした懸念がAUDの強さに表れているのかもしれません。

今日の環境分析 2023年11月1日

 昨日は、クロス円通貨が1%を超える上昇となりました。日本銀行は、イールドカーブコントロールの再修正を行い、長期金利の「上限1%」を「1%めど」に変更しました。市場の一部では1.2%や1.5%水準まで期待していた向きがあったので、その内容には失望感が強まり円安が進行しました。また、10月は為替介入が行われていなかったことが夕方には発表されました。これらを受けて、USDJPYは151円台と1年ぶりの水準になり、昨年高値を抜けると33年ぶりの水準が迫ってきています。ここからは口先介入だけでは済まない局面になってきており、実際の為替介入の可能性が高まったと思われます。しかし、本日のFOMC政策金利や金曜日の米国雇用統計の発表を控え、慎重な姿勢を維持せざるを得ない状況にあります。こうした状況をみた投機筋による短期的な円売りが進む可能性も否定できないため、警戒したいと思います。昨日発表の7-9月期のユーロ圏GDPは前期比年率で-0.4%と3四半期ぶりのマイナスになりました。10月のユーロ圏消費者物価指数は前年同期比で+2.9%と6か月連続で伸び率が鈍化しました。欧州経済は急激な利上げとインフレを背景に景気停滞が強まっていることから、今後の動向に目が離せない状況にあります。

 通貨相関からは、日銀の金融政策を受けてJPYの弱さが顕著になりました。USDも弱さが継続しており、相対的にEUR・GBPの強さが目立つ展開になりました。AUDのNZD対比の強さ、CADのUSD対比の弱さが継続しており、これら関連通貨の動きに注目しています。USDは今週は多くの経済指標が発表されるため、様子見で臨みたいと思います。

 本日は、日本時間明日未明に発表される米国FOMCの政策金利の発表と、その後のFRB議長の記者会見に注目です。今回は金利据え置きと想定されており、大きなサプライズはないと思われます。今日から発表される米国の労働統計の内容に警戒したいと思います。本日のADP全米雇用報告や雇用動態調査(JOLTS)求人数が発表されます。先月、大きく反応したことを市場は覚えているので、FOMCの発表前であっても大きく動く可能性を否定できません。また、ISM製造業景況指数にも注目です。来年以降の利下げ時期を探るための材料として重視されると思われます。
 USDJPYは昨年の高値水準にありますが、日米金利の方向性を重視すべきと考えます。昨年は、米国金利が上昇を続け日本は変化がない状態でした。今年は、米国金利は最終局面に入ってきている一方、日本は金融引き締めの動きを見せています。金利差だけで判断すると一段の円安を否定できませんが、市場は常に先読みします。金利差縮小に向けた動きを意識しておく必要があると考えます。

今日の環境分析 2023年10月31日

 昨日から行われている日本銀行の金融政策決定会合においてイールドカーブコントロールの議論がされており、長短金利操作を7月に続いて再修正をするとの新聞報道がありました。これを受けて、USDJPYは一時149円割れの水準まで円高の動きが強まりました。米国長期金利の上昇の影響から国内金利も0.9%直前まで上昇していることから、長期金利の現状の上限1%から1%超えを容認する案が進行している模様です。

 通貨相関からは、こうした動きが反映し、下位足ではJPYが最も強い通貨になりました。対してUSDは、弱い動きになってきており、明日(日本時間明後日未明)に発表されるFOMCの政策金利の発表を待っている状況です。AUDの反発の動きが強まり、つれてNZDの反発の動きが見られます。EURの反落の動きやCADの弱さは継続しています。GBPは中立的な動きになっていますが、木曜日に政策金利の発表を控えていることから、大きな動きにつながる状況にはありません。各通貨間の方向感に統一性がなく、個々の通貨ペアの動きを判断していきたいと思います。

 本日は、日銀の金融政策の発表される正午頃の動きに警戒したいと思います。イールドカーブコントロールの変更はあると思いますが、この内容は相場は織り込み済と考えています。新たなサプライズがない限り、大きく円高方向に向かう可能性は低いと考えています。しかし、JPYのトレンドは転換したと考えているため、日銀総裁の記者会見終了後の動きに注目したいと思います。その他、欧州圏の消費者物価指数やGDP、カナダのGDPにも注目です。

今日の環境分析 2023年10月30日

 週末金曜日は、USDJPYが前日に節目の150円を抜け150円台半ばまで上昇していたたものの、介入警戒が強まり反落し150円割れとなりました。先週は介入とも思われる動きが度々みられたことから、神経質な展開が続いています。こうした動きは、明日発表される日銀の金融政策において、何らかの変更を期待してのものと思われます。このため、まったく変更がなかった場合には、一気に円安が加速する可能性があるので警戒しておきたいと思います。

 通貨相関からは、下位足ではJPYが最も強くなりました。上位足を否定する動きとも思われ、円高方向への期待感が高まっています。USDの強さも継続しています。一方で、EURがGBPとともに弱さが目立つようになってきました。マイナー通貨全般に弱い展開になっています。USD・JPYを軸とした通貨選択をしたいと思います。

 今週は、火曜日の日本・水曜日の米国・木曜日の英国の政策金利の発表や金曜日の米国の雇用統計など、市場インパクトの大きな経済指標の発表が続くため、週を通して警戒が必要となります。また、月曜日のドイツのGDP、火曜日の欧州の消費者物価指数・米国の消費者信頼感指数・EUのGDP、水曜日の米国のISM製造業景況指数、木曜日のドイツの失業率、金曜日のカナダの失業率・オーストラリアの小売売上高・米国のISM非製造業景況指数にも注目です。米国では、金曜日の雇用統計の前に、水曜日のADP全米雇用報告と雇用動態調査(JOLTS)求人件数、木曜日の新規失業保険申請件数など労働統計の発表が相次ぎます。
 米国では長期金利が5%を超えており、FOMCにおいては金利据え置きと思われます。しかし、金利高止まりの長期化が想定されていることから、USDJPYの行方を決めるのは日銀の金融政策に委ねなれています。日銀の金融政策は現状維持と思われているものの、介入警戒がUSDJPYの上値を抑えています。もし、新たな施策がない場合は150円台の定着につながる可能性もあり、為替介入の警戒による上値を抑えていた力が円安方向に加速することにも警戒したいと思います。日銀の金融政策の内容次第で、今週はクロス円に大きなトレードチャンスが発生するものと思われます。週を通してボラティリティの高い展開が想定されるため、動きを確認してからでも十分に間に合うと思います。久しぶりに期待の高まる週となります。
 なお、今週から欧州と英国は冬時間に入ります。米国は来週からになります。

今日の環境分析 2023年10月27日

 昨日、ECBは11会合ぶりとなる政策金利の利上げ見送りを発表しました。声明文では、インフレ率は長く高止まりする見通しで、現在の政策金利を十分に長い時間維持するとの内容でした。ECB総裁の会見では追加利上げの可能性にも言及しましたが、利上げの最終局面にあることを確認する状況にあります。インフレ率と景気停滞を背景に、今後の金融政策のかじ取りが難しくなってきました。米国では7-9月期のGDPが発表され、前年同期比年率換算で+4.9%となり、4-6月期の+2.1%から大幅に加速しました。米国の耐久財受注は予想を大きく上回り、製造業の好調さをうかがえます。米国経済の堅調さを確認することになり、USDJPYは150円台で推移する展開になりました。

 通貨相関からは、USDの一強になってきました。上位足から下位足まですべての時間軸で最強になっています。景気動向・地政学リスクなどを考慮するとUSDの強さを裏付けていることがわかります。EUR・GBPが下位足での弱さが目立ちました。なかでもEURは金融政策の発表を受けて再び軟調な展開を迎えようとしています。USDを除くと強弱関係を判断するのが難しい状況にあるため、USDを軸にした通貨選択をしたいと思います。

 本日は、東京都区部の消費者物価指数に注目です。首相の所信表明演説では「経済・経済・経済!」とありましたが、どこまで経済に向き合っているのか疑問です。税収が増えたから、その分をお返しするとの発想のようですが、借金だらけなのにちょっと追加収入があったから使おうとする家計は破綻するのと同じ路線に向かっているようで気になります。来週の日銀の金融政策決定会合に向けて、良い意味での圧力を金融政策にかけてほしいと願っています。
また、米国のPCEデフレーターにも注目です。USDJPYは為替介入を警戒しつつ、上値を探る展開になると思われるため、値動きには注意したいと思います。

今日の環境分析 2023年10月26日

 前々日のAUDの急反発は、BOA総裁のインフレ見通しを大幅に上方修正した場合には追加利上げをためらわないとの発言が背景にありました。これまでは2023年末のインフレ率は4%台前半と見積もっていましたが、昨日の朝方発表された7-9月期の消費者物価指数では前年同期比で+5.4%と市場予想の+5.3%を上回ったことで年内に追加利上げの可能性を織り込む展開となりました。しかし、その後は利食い売りに押され、レンジを抜けたかのように見えた動きは再びレンジ内に戻ってきました。カナダの政策金利は景気減速を配慮し、市場予想通りの据え置きとなりサプライズはありませんでした。今朝方、USDJPYは150円台に再び乗せ、買い戻しの動きを巻き込んで150円30銭まで上昇が加速しました。その後は反落していますが、日本時間の値動きには警戒が必要になりそうです。

 通貨相関からは、USDの強さが再び目立つ展開になりました。AUDは足元の激しい上下動があり強弱関係をそのまま評価することができません、EUR対比でGBPの弱さが目立つことやCAD・NZDの弱さが続くことから、これら通貨の動きに注目したいと思います。

 本日は、ECBの政策金利に注目です。現状維持の見通しでサプライズはないと思いますが、声明文や総裁記者会見において、足元の景気悪化とインフレ持続のバランスの中で金融政策の方向性に変化があるのか注目です。また、米国のGDPや新規失業保険申請件数にも注目です。内容次第ではUSDの強さが加速される可能性もあるので警戒したいと思います。

今日の環境分析 2023年10月25日

 昨日発表された欧米各国地域のPMIは、欧米の景気の違いが明確になりました。米国では市場予想を上回る一方で、ユーロ圏・英国はともに市場予想を下回りました。米国のPMIは製造業・サービス業ともに景気の分岐点とされる50を上回り米国経済の強さを確認し、高金利の長期化が想定される状況になりました。一方ユーロ圏では3年ぶりの低水準となり、景気後退懸念が強まり、EURの下落につながりました。

 通貨相関からは、AUDの急反発の動きが目立ちました。背景は不明ですがあえて推定すると、中国習主席が異例となる人民銀行へ訪問したことで経済重視の政策に転換するのではとの判断が影響したものと思われます。同じマイナー通貨でもCAD・NZDは弱いままになっています。メジャー通貨は全般に強いグループに入っていますが、足元のEURの動きからは、EURの強さは陰りが見えてきた模様です。方向感をつかみにくい状況にあるため、個々の通貨ペアの動きに注目したいと思います。

 本日は、カナダの政策金利に注目です。現状維持が想定されており、サプライズはないと思われます。声明文や総裁記者会見において、カナダ経済の停滞懸念から利下げ方針に言及するのか注目しています。また、オーストラリアの消費者物価指数やドイツのIFO景況指数にも注目です。さらに、ECB総裁の発言が予定されており、明日のECBの政策金利の発表を前にサプライズの内容はないと思いますが、警戒しておきたいと思います。

今日の環境分析 2023年10月24日

 昨日は、週初月曜日であったことから日本時間はおとなしい動きになりました。しかし、欧州時間後半から米国時間にかけて、USD・JPYの反落の動きからUSDJPYを除くクロス円やドルストレート通貨が大きく動きました。スイングトレードでは徐々に日足べースでのトレンドを確認できる通貨ペアが増えてきました。目先の動きが持続するのか反転するのか、今後の展開が楽しみな局面になりつつあります。

 通貨相関からは、USDの強さに陰りが見えてきました。EURの強さは継続しています。GBPは反転の動きからEURに次ぐ強さになってきました。マイナー通貨は全般に軟調な展開が続いていることから売り対象の通貨群と考えています。上位足から下位足まで強さの揃っているEURを軸に通貨選択をしたいと思いますが、本日の欧州のPMIの結果や明後日のECB政策金利の発表を控えていることには注意したいと思います。

 本日は、英国の失業率と欧州各国地域・英国・米国のPMIに注目です。なかでも、欧州各国地域のPMIには警戒が必要です。重要度の低いフランスのPMIであっても、EURへ大きな反応を示すことがあるため、各発表時間に注意したいと思います。その他、ECB総裁の発言にも注目しています。EURは堅調な動きを続けているだけに、反転の場合は急激な動きになる可能性もあるので警戒したいと思います。

今日の環境分析 2023年10月23日

 週末金曜日、USDJPYは150円の大台を意識した展開が続きました。米国の金利高が株式市場の下落につながり、地政学的リスクの高まりから金が上昇しています。米国の長期金利が上昇していることから、次回のFOMCでの利上げは見送りが想定されています。来週の日銀の金融政策にも変更がないとすれば、日米金利差の拡大をUSDJPYは反映していないことになります。現状の日米金利差からは150円台で推移するものと思われますが、介入警戒感から上値が重たい状況が続いています。この金利差を反映していない不自然な価格推移は、いずれ解消されるものと思われます。為替介入を度々示唆している日本の金融当局の動きからすれば、日米金利修正のため何らかの金融政策を修正する必要性が高まっているものと思われます。

 通貨相関からは、USD・EURの強さが継続しています。JPYの強さも持続してきており、USDJPYの膠着に反映されています。マイナー通貨は全般に弱い通貨群に位置しています。上位足から下位足まで多くの通貨で方向性が揃ってきているため、通貨間の強弱関係が明確になりつつあります。中立的な位置づけのGBPを除き、メジャー通貨買い・マイナー通貨売りの通貨選択をしていきたいと思います。

 今週は、水曜日のカナダBOCと木曜日の欧州ECBの政策金利の発表が最大の注目です。火曜日には、英国の失業率と欧米各国地域のPMI、水曜日にオーストラリアの消費者物価指数、木曜日に米国のGDP、金曜日に東京都区部消費者物価指数と米国のPCEデフレーターも注目です。来週は日本・米国・英国の金融政策の発表を控えていることから、今週は金利動向を意識した展開になることが想定されます。本日は、注目すべき経済指標の発表はありません。なお、ニュージーランドと中国は祝日で金融市場は休場です。