今日の環境分析 2022年6月20日

先週末、日本銀行は金融緩和の継続を発表しました。日銀総裁の記者会見では、コロナ禍からの回復を見込む日本経済にとって利上げは適切ではない、物価上昇の大部分はエネルギー価格の上昇が要因だとのコメントがありました。世界の中央銀行が金融引き締めを行う中、日本との金利差が一段と明確になり、金利差を背景とした円安方向への加速の可能性が高まってきました。一方で、米国を始め物価上昇に伴う金利引き上げにより、徐々に景気悪化懸念が高まってきていることにも注目です。このため、ドルの大幅上昇にはつながらないのではとも考えています。

通貨相関からは、USDが短期足で弱い動きを見せています。JPYの弱さも継続しているため、USDJPYは大きく動きにくい状況にあります。JPYは上位足から下位足まで方向性が揃っているため、USDJPYを除くクロス円に注目しています。しかし、全般に方向感が揃っていない状況にあり、トレンドの発生を確認できないため、慎重な姿勢で臨みたいと思います。

今週水曜日には参議院選挙が告示され、日本銀行の金融政策が自民党の支持率に大きな影響を与えると思われます。日本銀行の金融緩和継続=物価上昇の許容の図式が出来上がっているため、自民党の支持率低下に伴い日本銀行への圧力が高まることを想定しています。

今週は、水曜日と木曜日に予定されている、米国FRB議長の議会証言が注目されます。0.75%の大幅利上げをした後だけに、今後の金融政策や景気見通しについて注目したいと思います。本日は、米国が祝日で金融市場は休場となります。

スワップ一覧_2022/6/18(Axiory/BigBoss/XM/Titan/HotForex/外為ファイネスト)

今週は、米国で大幅利上げとなり、USD関連通貨のポジションでスワップポイントの変更が行われました。また、前週発表されたユーロの利上げを反映した変化がありました。全般に金融政策に沿ってスワップポイントの細かい変更が行われています。

BigBossでは依然として、USDJPYで意図的なスワップポイント方針となっています。ショートポジションのプラススワップとロングポジションのマイナススワップが拡大し、金融政策の方向性とは逆方向に向かっています。一方で、Axioryでは金融政策の方向性に沿ったスワップポイントとなっています。USDJPYにおけるFX会社間の裁定取引は一段と有利な状況になってきました。

日本では金融緩和継続方針が発表され、主要国の金融政策の方向性が明確になってきました。想定外のスイスの利上げなど、日本を除く主要国の金融引き締めの傾向は強まっています。方向性が明確になってきているため、ファンダメンタルズに沿った通貨選択がしやすくなってきています。

今日の環境分析 2022年6月17日

FRBの0.75%の大幅利上げを受けて、世界の金融市場でリスクオフの動きが強まりました。昨日は、スイスが15年ぶりの利上げを行い、政策金利はマイナス金利の-0.25%となり、今後の利上げを示唆するコメントがありました。また、英国では5回連続となる0.25%の利上げを行いました。

これで、主要国の中で利上げをしていないのは日本だけになりました。本日昼頃、日本銀行の政策金利の発表が行われます。かつてないほど日本銀行の動向に注目が集まっています。
(余談ですが、日銀の政策金利の発表は昼頃と時間指定がされていません。他の経済指標のように発表時間の値動き警戒することができないのは困ったものです。)
従来の発表時間の動向から、政策変更がある時は発表時間が遅くなる傾向にあります。12時台のJPYの値動きに警戒したいと思います。金融緩和継続との市場予想が多くなっていますが、継続となった場合の反応に注意したいと思います。また、15時30分からの日銀総裁の記者会見にも注目です。金融緩和を継続した場合、日銀総裁のコメントに注目したいと思います。

昨日の米国の大幅な利上げを受けて、米国株式市場を始め世界の株式市場が急落しています。これを受けて、本日の日本株式市場も大幅な下落が想定されます。この下落の際、日銀のETF買いがあるかどうかに注目しています。買いを見送るのであれば、日銀の金融緩和終焉のサインと判断することができると思うからです。

通貨相関からは、AUDの強さが目立っています。また、CADが弱含んできています。金融政策に左右される動きが継続しており、方向感をつかむのが難しい局面になっています。週明け月曜日は、米国が祝日で金融市場は休場になります。週末でもあり、見送りも可と思います。

今日の環境分析 2022年6月16日

今日未明、FOMCで0.75%の利上げを発表しました。従来予想の0.5%から直前になって0.75%利上げが市場のコンセンサスになっていたため、材料出尽くし感からUSDの上昇にはつながりませんでした。FRB議長の会見においても継続的な金融引き締めを確認できたものの、「0.75%の利上げが一般的になるとは思わない」との発言から7月の0.75%利上げを先走っていた市場にはサプライズとなり、USDは反落しました。

JPYの短期足が反発の動きを継続していますが、上位足に波及するまでには到っていません。JPYを除けば、上位足から下位足まで方向感が揃ってきました。しかし、米国の禁輸言う政策に影響を受けて、明確なトレンドを確認することができなくなりました。金融政策に左右される展開が続いているので、様子見せざるを得ない状況になってきました。

本日は、スイスと英国の政策金利の発表があります。米国が0.75%という大きな値幅で引き上げたため、通常の0.25%程度の利上げでは見劣り感が出る可能性が高くなりました。
また、金曜日に予定されている日銀の政策決定会合にも影響を与えることとなりました。従来の金融緩和継続路線では、日米金利差からのドル高が再び加速することが想定されます。金融緩和継続では、政府当局の無為無策と問われかねず、参院選を前に何らかの円安対策につながる方針を打ち出してくることを期待しています。

今日の環境分析 2022年6月15日

本日は、日本時間明日未明に発表されるFOMCの政策金利に注目です。従来予想の0.5%から0.75%の利上げに予想の中心が集まってきたことで、金融引き締めの強化を想定する動きが強まっています。USDJPYは135円台半ばまで上昇してきており、0.75%の利上げを織り込んだ動きになってきています。また、小売売上高の発表もあり、金融方針への影響の大きい指標であるので、警戒が必要です。

USDの力強さが目立つ中で、JPYの短期的な強さも目立っています。USDJPYを除いたクロス円通貨の調整の動きに注目しています。
多くの通貨ペアで下位足の動きが日足に波及し、トレンドが発生してきました。通貨間の強弱が明確になってきているため、通貨選択には間違えないようにしていきたいと思います。

今日の環境分析 2022年6月14日

先週末の米国消費者物価指数の数字を受けて、今週のFOMCにおいて0.75%の利上げ予想が強まりました。従来の0.5%利上げ予想からの上振れを受けて、リスクオフの動きが強まりました。株式市場が下落し、金やビットコインなども売り込まれています。クロス円やドルストレート通貨に1%を超える変動となりました。

通貨相関からは、USDの圧倒的な強さが目立っています。週半ばのFOMCに向けてドルストレート通貨は、堅調な展開になると思われます。ただし、USDJPYは昨日一時135円台をつけましたが、JPYが円安の反動や金融当局の円安懸念の発言などもあり、上値は重い展開にあります。

短期足に発生していたトレンドの動きは、日足に波及してきています。このまま日足ベースでトレンド確定していくのか、ダマシに終わるのか注視していきたいと思います。今週は重要な経済指標を控えているため、思惑的な動きなどの神経質な展開になると思われます。

また、EURUSDの1.0割れ、EURJPYとUSDJPYの価格逆転が近くなっており、値動きに注目しています。

今日の環境分析 2022年6月13日

先週末に発表された米国の消費者物価指数は、インフレピーク感を払拭するものでした。金融引き締めの継続方向に変化がないことを確認しました。

通貨相関からは、USDの強さを確認しました、また、JPYは目先USDに次ぐ強さを見せています。短期的な円安進行への反動と思われます。トレンド転換につながるかに注目しています。JPYと全く反対の動きなのがAUDです。全般に、上位足と下位足の方向感に違いが出てきており、下位足の動きが上位足に波及していくのか、一時的な反発に過ぎないのか注視していきたいと思います。

今週は、水曜日(日本時間木曜日未明)に米国、木曜日にスイスと英国、金曜日に日本の政策金利が発表されます。各国ともに大きなサプライズはないと想定していますが、あるとすれば日本の動きです。先週末にJPYが円高方向に反発し、クロス円通貨の目先の天井を確認しました。大きなトレンドは金利差を背景としているので円安方向にあると思います。しかし、日本は先進国で唯一の金融緩和継続国として認識されているため、日銀の方針転換を示唆する動きがあると、大きな変化になる可能性があると思います。日本の発表は週末金曜日になるため、思惑的な動きが強まると思います。また、継続フォロー通貨ではありませんが、JPY同様に売り込まれていたCHFの反発の動きがみられます。CHFの動きにJPYが連動していく可能性も否定できないと思います。

黒田日銀総裁の思惑

 先週、日銀総裁の発言(「値上げの許容度は高まっている」(後日修正))がありました。世間の反響は大きく、値上げへの拒否反応の大きさを確認する結果となりました。値上げ要因は、多くが原油などのエネルギーや農産物などの輸入物価の上昇によるものです。物価上昇は、ウクライナ情勢を始めとした国際情勢の悪化に伴う原材料価格の上昇ですが、円安による実質価格の上昇もあります。こうした状況の中、日銀総裁の発言は確信犯かもしれないと考えています。多くの国民が物価上昇を忌避しているなかで、物価上昇要因の一つである円安対策があると思います。実際、例の発言の数日後に、日本銀行、財務省、金融庁の三者で円安対応の会合が開かれています。物価上昇忌避=>円高への転換=金融緩和継続の停止になります。

 元々、日本銀行の大幅な金融緩和策はアベノミクスを推進しようとする政府当局からの強烈な要請に基づいて始まっています。中央銀行の独立性を無視したアベノミクスの推進の犠牲になったと思われます。日銀総裁にしてみれば、中央銀行の独立性を奪われた結果の金融緩和なので、意地になって継続しているようにも見えます。現在、ETFを通して多くの上場企業において日本銀行が大株主になっているという異常事態にあります。証券理論を勉強すると分かりますが、日本銀行が民間企業の株式保有する事態は、昭和40年代の証券不況の際の2回の日銀特融があるだけです。これは、景気低迷・株価下落を支える意図で行われたもので、特異な存在になっています。それが、アベノミクスでは景気が上昇していく中で、金融緩和策の一環として株価を支えるためのETF買いを行ってきました。金利引き上げが難しい現状でETFの売却があれば金融緩和の継続に終止符を打つことになると思います。

 米国のインフレ懸念のピーク感を確認するには難しい状況ですが、金融引き締め方針の全容は見えてきています。今ここで、日本が金融緩和の継続中止を示唆するコメントがあれば、サプライズとして一挙に円高に進むリスクがあります。

 日銀総裁の発言は、金融緩和の継続終焉を示唆したい思惑であったのではと推察しています。

スワップ一覧_2022/6/11(Axiory/BigBoss/XM/Titan/HotForex/外為ファイネスト)

今週は、オーストラリアの利上げの発表があり、AUD関連通貨のポジションでスワップポイントの変化がありました。また、前週のカナダの利上げを反映した変化がありました。これは、前週のカナダとニュージーランドの利上げでも見られた現象でした。各社ともに、金融政策の変更にスワップポイントに反映されるまでに時差があることに注意しなければならないことを再確認させられました。

BigBossのUSDJPYはわずかですが、再び、ロングポジションのマイナス幅、ショートポジションのプラス幅が拡大しました。XMのロングポジションのプラススワップが拡大したため、Big Bossのショートポジションとの裁定取引が一段と有利な状況になりました。米国のインフレピーク感の見方がある一方で、金融引き締めの継続との綱引きの環境下にあるため、スワップ方針の方向性には注意したいと思います。

今日の環境分析 2022年6月10日

昨日の欧州中央銀行(ECB)の理事会で、7月1日に量的緩和を終了するとともに7月中の0.25%の利上げを決定しました。さらに9月には大幅な利上げを検討し、マイナス金利を終了することを示唆しました。ほぼ事前予想通りだったため、EURの動きにサプライズは見られませんでした。

通貨相関からは、マイナー通貨の弱さ、JPYを除くメジャー通貨の強さの動きが出てきました。昨日まで、Mark’s Tradeではすべてのクロス円通貨の買いサインが出ていましたが、USDJPYを除く通貨ペアに第1利確サインが発生したので決済しました。

本日は、米国の消費者物価指数に注目しています。インフレのピーク感となる数字が出るのか、利上げ加速を裏付ける数字になるのか、指標発表後のUSDの値動きに警戒しています。また、同時刻に発表されるカナダの失業率にも注目です。USDCADの動きを注視したいと思います。