今日の環境分析 2023年5月11日

 今週の最大の注目材料だった米国の4月の消費者物価指数は、前年同月比で市場予想の+5.0%を下回る+4.9%となりました。一部にはサプライズの上振れを予想する向きもあり、発表前にはUSDが買われる動きがありましたが、実際にはサプライズはなかったためサプライズ期待の上昇分は剥落しました。USDの弱さは継続していると判断しています。加えて、雇用統計・消費者物価指数と注目材料を消化したことで、市場では米国政府の債務上限問題への注目度が高まってきているため、USDの上値を追うことはむずかしい局面にあると思います。市場全般では、ボラティリティは高まったものの小動きに推移しました。

 通貨相関からは、USDの弱さが継続し、JPYの弱さが一服しつつあります。先月の日銀総裁の緩和継続発言から続く円安への調整の動きは終了したように思われます。今後の金融政策を考えると、これ以上の金融緩和を期待できない状況からすれば、円高方向に向かうのは必然のため、その動きが出てきているように思われます。EUR・GBPもUSDとともに弱い状況にあります。ただし、GBPは本日のBOEの金融政策の発表を待って方向性を確認したいと思います。マイナー通貨全般に堅調な展開となっているため、JPYを除くメジャー通貨売りのマイナー通貨買いの通貨選択をしたいと思います。

 本日は、英国の政策金利に注目です。インフレ継続しているなか利上げ幅の水準に注目しています。その他、米国の生産者物価指数や新規失業保険申請件数にも注目です。また、4月末に行われた日銀の金融政策決定会合における主な意見公表が発表されます。金融緩和策からの脱却を期待されているため、会合における意見の内容には注視したいと思います。内容次第では一気に円高が進むこともありうるので、警戒しておきたいと思います。