昨日発表された米国の11月の消費者物価指数は、市場予想通りの前年比+3.1%となり、伸び率は減速しました。物価目標の2%には遠いものの、FOMCの発表する政策金利は据え置きが確実視されています。市場予想通りであったことや、政策金利の発表を翌日に控えていることから、消費者物価指数の反応は限定的でした。ドイツのZEW景況感調査では、市場予想の8.1に対し、前月の9.8から大きく改善した12.8となりました。ドイツでは財政危機に直面しているにもかかわらず、5か月連続で改善しているのは利下げ観測が期待につながっているものと思われます。ECBへの利下げプレッシャーが一段と強まるものと思われます。市場全般では、重要な経済指標が連続するため、様子見姿勢が強く、方向感のない状態が続いています。
通貨相関からは、下位足で強さを維持していたJPYやNZDが弱くなりました。このため、JPY以外のメジャー通貨に強さが戻ることになりました。USD・EUR・GBPは今日から明日にかけて、政策金利が発表されるため、発表までは動きにくい展開にあると考えています。本日は、通貨を特定せず、個々の通貨ペアの値動きを追っていきたいと思います。
日足 : JPY>NZD>GBP>AUD>CAD>USD>EUR
4時間足 : CAD>USD>EUR>GBP>AUD>NZD>JPY
本日は、日本時間明日未明に発表されるFOMCの政策金利の発表とその後のFRB議長の会見に注目です。金利据え置きはほぼ間違いないと思われるため、サプライズはないと判断しています。政策金利の発表時の声明文や記者会見において、利下げに言及するかが最大の注目材料となります。そのほか、米国の生産者物価指数や英国のGDPにも注目です。また、日本の政局混乱が今後のJPYにどのような影響を与えるのか警戒しておきたいと思います。
今日の環境分析 2023年12月12日
昨日は、ボラティリティが低下し、調整色を強める展開となりました。今月の方向性と逆向きになっていることから確認することができます。JPYは反転してきており、日銀の金融政策の早期修正を織り込み過ぎている市場に対しての調整の動きと思われます。しかし、USDJPY急落の起点となった147円台には戻っていないことから、現時点では円高方向へのトレンドは持続していると思われます。本日の米国の消費者物価指数の内容をみて、再度、方向性を決めるのではないかと考えています。
通貨相関からは、JPYの強さ、EUR・GBPの弱さが継続しています。NZDは反落し、AUD・CADは反発の動きが見られます。方向性の強さを持続しているJPY・EUR・GBPの注目を継続したいと思います。昨日に続き、EUR・GBP売り、JPY買いを軸に通貨選択をしていきたいと思います。
日足 : JPY>NZD>CAD>AUD>GBP>USD>EUR
4時間足 : JPY>CAD>AUD>USD>GBP>EUR>NZD
本日は、米国の消費者物価指数に注目。大きなサプライズは想定しにくいものの、市場予想との乖離があるかどうかに注意したいと思います。FOMCを明日に控えていることから、サプライズがあった場合でも値幅は限定的と考えています。そのほか、英国の失業率に注目です。先進国のなかで最後まで金融引き締めを継続すると考えられることから、内容次第ではGBPの動きに注意が必要です。また、ドイツのZEW景況感調査にも注目です。欧州経済圏の最大の担い手であるドイツの景気動向は、ECBの金融政策に大きな影響を与えます。ECBの来年からの利下げをEURは大部分織り込んでいることから、内容次第では再度織り込む動きになるのか注意したいと思います。
今日の環境分析 2023年12月11日
週末金曜日に発表された雇用統計は、非農業部門の就業者数は+19.9万人と市場予想の+18.0万人を上回り、失業率は3.7%と市場予想の3.9%を下回りました。労働市場の堅調さを確認する結果となり、早期利下げ観測が後退しました。これを受けて、USDが反転する動きを強め、USDJPYは145円近辺まで上昇しました。木曜日に大きく動いた後だけに反発の動きは想定内ですが、予想外に戻りが鈍い印象を受けます。大きなトレンドの転換を意識しておく必要があると思われます。
通貨相関からは、JPYの強さ、EUR・GBPの弱さが継続しています。USDは比較的堅調な位置づけのため、USDJPYの戻りの鈍さを確認することができます。EUR・GBPは上位足を含めて弱い通貨群に位置しているため、弱い展開は持続するものと思われます。JPYの買い、EUR・GBPの売りを軸に通貨選択をしていきたいと思います。
通貨相関表の見方が分からないとの意見をいただきましたので、強い順に並べてみました。
左側の強い通貨を買い、右側の弱い通貨を売る、そんな組み合わせを検討してみてください。
日足 : JPY>NZD>AUD>GBP>CAD>EUR>USD
4時間足 : JPY>AUD>USD>CAD>NZD>EUR>GBP
今週は、火曜日以降、非常に重要な経済指標の発表が続きます。火曜日は米国の消費者物価指数、水曜日(日本時間木曜日未明)は米国FOMCの政策金利、木曜日は英国BOE・欧州ECBの政策金利が発表されます。市場へのインパクトが非常に高いので、各中央銀行総裁の会見内容とともに警戒しておきたいと思います。各中央銀行の政策金利は、ともに据え置きが予想されています。FOMCの声明文で利下げに言及しているのか、ECBが早期の利下げに踏み切る準備があるのかに注目したいと思います。そのほか、火曜日の英国の失業率・ドイツのZEW景況感調査、水曜日の日銀短観・英国のGDP・米国の生産者物価指数、木曜日のオーストラリアの失業率・米国の新規失業保険申請件数と小売売上高、金曜日は欧米各国・地域のPMIなど、どれもが市場へ影響を与えると思われるので、警戒したいと思います。本日は、重要な経済指標はありません。先週末の雇用統計を受けての動きに注意したいと思います。明日の米国の消費者物価指数、明後日のFOMC政策金利を控えて、方向感を探るのが難しい展開を想定しています。
2023年11月の運用実績(スイングトレード)
11月は、1,332.5pipsとなりました。10月よりは収益が増えましたが、月前半は利確を丁寧にできなかったこともあり、小幅のトレードが多くなりました。月後半には大きなトレンドを取ることができましたが、限定的になりました。17勝8敗、勝率68.0%と平均的な勝率を大きく下回りました。平均収益53.3pips、保有日数5.8日となりました。
デイトレードの実績_2023年12月第1週
12月第1週は、9通貨ペアで+1,689.9pipsとなり、11月第1週以来の水準となりました。久しぶりに大きく取れましたが、木曜日のクロス円通貨が大部分を占めました。木曜日は、4月28日以来の1000pips超えとなりました。17回トレードし、16勝1敗、勝率94.1%となりました。8回トレードを見送り、金曜日、EURUSDはトレードをしませんでした。
デイトレードにおいては、1時間足のチャートを見るだけで、判断することができます。ノウハウは個別コンサルティングにて提供しています。ご興味のある方は、お問合せください。
スワップ一覧_2023/12/09(Axiory/XM/Titan)
今日の環境分析 2023年12月8日
昨日、USDJPYは急落しました。日本時間未明には一時141円台まで円高が進み、その後反発し、現在は144円台で推移しています。前日の日銀副総裁の「金融緩和が出口を迎えた場合でも、良い結果につなげることは十分可能」との発言からゼロ金利解除は近いとの判断がされていたところに、日銀総裁が参院財政金融員会において政策運営に対する質問に対し、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言し、さらにその後首相官邸に訪問したことから、ゼロ金利解除が前倒しに進むとの判断が強まりました。欧米諸国・地域の金融政策は来年利下げ見通しが確実視されています。来週開催の米国のFOMCでは利上げ見送りは確実で、サプライズで利下げへの転換との見方も可能性は極めて低いものの一部にはあります。米国の労働環境から利下げの時期が前倒しとなれば、日銀の利上げタイミングを失う可能性があるため、日銀は金融政策の変更を早めたいのではないかと判断が強まっています。欧州ではインフレ鈍化が鮮明となり、来年の利下げの前倒しを見込んだEUR安につながっています。すでに0.25%利下げの6回分を織り込んだとの見方もあります。急激な円高の背景には日本と欧米の金融政策の方向性の違いによるものなので、円高方向への動きは持続するものと考えます。中長期的なトレンドの転換は間違いないと考えますが、目先の動きは過剰反応とも思えるため、ショートカバーには警戒したいと思います。
通貨相関からは、昨日の動きを受けてJPYの強さが継続し、その動きは上位足にまで波及してきました。USD・NZDともに強さは継続しており、その他の通貨の弱さは顕著となりました。通貨の強弱面からは、強弱が完全に二分化されていると思われます。強い通貨群の買い、弱い通貨群の売りの選択肢の幅は広がったことから、通貨選択のしやすい状況になってきました。
本日は、米国の雇用統計に注目です。今週、多くの労働統計で確認できている労働市場の需給ひっ迫緩和を、雇用統計でも確認することになるのかに注意したいと思います。また、日本の第3四半期GDPにも注目です。内容次第では、日銀の金融政策の方向性に修正を加えることになると思われるので注意しておきたいと思います。本日は、昨日のJPYの大きな動きの後だけに、慎重に臨んでいく必要があります。
今日の環境分析 2023年12月7日
オーストラリアの第3四半期GDPは、前期比+0.2%と市場予想の+0.5%を下回りました。これを受けて、AUDの軟調な展開は継続しました。BOE金融安定報告書では地政学的な緊張と経済見通しをリスクと発表しました。その後のBOE総裁の会見では、インフレ見通しは不透明で、金利は現在の水準にとどまる必要があるとの発言がありました。ECB総裁の発言との金利見通しの違いが鮮明になりつつあります。ADP全米雇用報告は非農業部門雇用者数が前月比+10.3万人と市場予想の+12.8万人を下回りました。雇用と賃金の伸びは緩やかへと変化したと判断され、労働市場の需給ひっ迫は緩和されています。カナダの政策金利は、事前予想通り据え置きとなりました。景気減速からインフレ圧力が低下しているものの、追加利上げの可能性に含みを残しました。市場全般では、ボラティリティが低下し、小動きに推移しました。
通貨相関からは、USD・JPYの強さ、EUR・GBP・AUDの弱さが継続しています。労働市場の需給逼迫緩和の動きから米国の長期金利は低下し、USDの弱さにつながっています。しかし、景気停滞懸念の強い英国や欧州との対比から、USDの優位性が目立つ結果になっています。USDの強さは相対的なものなので、長期的な持続性は乏しいと考えています。対する日本は来年前半に向けたゼロ金利解除の動きがでてきていることから、JPYの強さは持続すると考えています。こうした点から、クロス円通貨に注目していますが、収束を強めているため、発散の方向性には間違えないようにしたいと思います。また、ドルストレート通貨のトレンドに追随する動きを狙いたいと思います。
本日は、米国の新規失業保険申請件数に注目です。明日の雇用統計の発表を前に、大きな動きは期待できませんが、他の労働統計とくらべ速報性の高い指標のため、労働市場の方向感に変化がないのかを確認しておきたいと思います。また、重要度は低いですが、オーストラリアと中国の貿易収支にも注目です。オーストラリアは鉄鉱石を中心とした資源で中国への依存度が高いため、昨日発表されたGDPの内容を裏付けるものか注意したいと思います。また、中国は景気停滞から回復の兆しがみられるものの、政府当局の内向きな方針が貿易の停滞を招いていないのか確認する必要があります。
今日の環境分析 2023年12月6日
昨日、オーストラリア中央銀行は政策金利を発表し、事前予想通りの4.35%に据え置きました。据え置きを発表したことでAUDの売りが加速し、AUDJPYは前日比2%の下落となりました。11月の東京都区部の消費者物価指数が発表され、前年同月比+2.3%の106.0と27か月連続のプラスとなりました。伸び率は10月の+2.7%より減速しているものの、インフレ懸念の増大により日銀の金融政策変更への後押しになっていると思われます。米国では、雇用動態調査(JOLTS)求人数が発表され、市場予想の930万人を大きく下回る873.3万人と、2021年3月以来の低水準となりました。労働市場の需給ひっ迫の緩和と判断され、長期金利の低下を招きました。同時刻に発表された11月のISM非製造業景況指数は、前月比+0.9の52.7と市場予想の52.0を上回りました。
通貨相関からは、USDの底打ちの動きが継続しました。JPYの強さも継続しているため、USDJPYは動きにくい状況にあります。AUD・EURの弱さが継続しており、GBPも軟調な展開が続いています。強かったNZDは調整の動きがみられ、AUDとともに軟調な展開が想定されます。USDJPY以外のクロス円通貨やドルストレート通貨は素直な反応になっていることから、これら通貨に注目したいと思います。
本日は、カナダの政策金利に注目です。昨日のオーストラリア同様に、据え置きが見込まれていますが、声明文に注目したいと思います。主要国の中で早めのアクションを取ることが多いため、来年の利下げ時期を示唆する内容になるのか注目しています。長期にわたって弱かったCADに足元では調整の動きが見られており、調整から反転に向かうのか弱さが継続するのか、本日の声明文の内容次第では大きく動く可能性があるため警戒したいと思います。また、
英国中央銀行の金融安定報告書の発表にも注目です。今後の金融政策の判断材料として重要な位置を占めるため、その後の総裁会見の内容とともに、GBPの動きに注意しておきたいと思います。さらに、ADP全米雇用報告にも注目です。昨日発表されたJOLTS求人数よりも指標としての信頼度は高いため、週末の雇用統計を推察することにつながります。USDの動きを注視したいと思います。
今日の環境分析 2023年12月5日
昨日は、重要な経済指標の発表はなく、週初でもありボラティリティが低下し、全般に小動きに推移しました。12月に入ったことで、一部投資家の年内のポジション調整に向けた動きが徐々に表れてきている模様です。USDJPYは、146円台まで下落したものの反発し、147円台を回復しています。米国の政策金利の利下げ観測の強まりから、米国長期金利の下落は過剰反応との見方があります。こうした点が、USDJPYの下値を抑えているものと思われます。一方で、日本のゼロ金利解除は春頃に実施されると思われることから、JPYの強さが継続しており、クロス円通貨の下落につながっています。欧州経済の悪化懸念からEURが売り込まれていることから、EURJPYの下落が目立つ展開になっています。
通貨相関からもこうした動きが見て取れます。EURが最弱通貨となり、GBPの弱さも継続しています。USDの目先の底打ちの動きやJPYの堅調さの継続、CADの反発など、方向感のつかみにくい状況にあります。NZDの堅調さは継続しているように、EURの弱さも持続性のあるものと思われます。EUR関連通貨の売りやクロス円通貨の売りを継続したいと思います。個別通貨ペアでは、CADJPY・EURCAD・GBPCADなどCAD関連通貨が強弱の上位下位に入ってきています。明日のカナダの政策金利の発表を前に、思惑的な動きとも判断されることから、持続性のある動きかを見極めていきたいと思います。
本日は、オーストラリアの政策金利に注目です。11月に5会合ぶりに利上げをしたことから、今回は利上げ見送りと思われます。AUDは足元軟調な展開となっているため、反転するのか継続するのか、政策金利の発表をみて判断していきたいと思います。また、米国のISM非製造業景況指数や雇用動態調査(JOLTS)求人数にも注目です。金曜日に発表されたISM製造業景況指数は市場予想を下回るとともに、景気判断の分岐点となる50を下回りました。非製造業景況指数では市場予想は52.2と前月比改善するものと見込んでいますが、内容に注目です。同時刻に発表されるJOLTS求人数の内容と合わせて、景気・雇用と米国経済の動向を判断する大きな動きになることが想定されます。内容次第ではUSDの一段安の可能性もあるため、警戒したいと思います。