先週末金曜日、日本銀行はイールドカーブ・コントロールの政策修正を発表しました。金曜日未明の新聞報道は金融当局の意図的なものと思われ、この時間での情報リークに市場は疑問視しています。新聞報道で急速に進んだ円高は、欧州時間以降に反転し発表前の水準に戻りました。事前の新聞報道のないサプライズの政策変更であれば、円安修正が可能であったと思われるので、政策報道の失敗といえそうです。しかし、日銀の大規模金融緩和からの脱却が明確に示され、加えてFRB・ECB総裁のハト派に転換した発言もあり、円高指向の動きは強まるものと思われます。また、同日発表された米国の6月のPCEデフレーターは、前年比+3.0%と前回よりも伸び率が鈍化し、インフレ低下を確認する結果となりました。FRBが金融政策の決定に際しこの指標を最重要視しているため、次回の利上げ見送りの可能性を高める結果となりました。金曜日の朝の段階では大きなトレンドの始まりを期待していましたが、反転の動きが見られたため、先送りになった模様です。
通貨相関からは、JPY・USDの強さが継続しています。日銀の政策転換はグローバルな資金循環に大きな影響を与えるため、今後は安易に円安方向には向かいにくい状況になってきました。EUR・GBPともに堅調となり、マイナー通貨の弱さが目立つ展開になっています。本日は、月末・週初であることから動きにくい展開ですが、JPY・USDを軸に通貨選択を検討したいと思います。
今週は、火曜日のオーストラリアと木曜日の英国の政策金利、木曜日のISM非製造業景況指数、金曜日の米国の雇用統計が最重要な注目材料になります。なかでも、米国の雇用統計は次回の利上げの有無を判断することから、市場へのインパクトは大きいと考えられます。雇用統計の前には、木曜日の新規失業保険申請件数など労働関連統計が発表されるため、重要度は低いものの市場への影響を無視できない状況にあります。そのほかにも、市場に影響を与えそうな経済指標が続くため、個々の経済指標には注意が必要です。
本日は、月末のためポジション調整の動きに警戒したいと思います。日本の鉱工業生産、欧州圏の消費者物価指数や第2四半期GDPの内容を注視する必要がありそうです。金融緩和の日本と金融引締めのその他先進国とで、金融政策の方向性が修正されつつあります。今後、大きな資金の流れが変化することを警戒していきたいと思います。