昨日、日本銀行は金融政策決定会合を終え、大規模な金融緩和を継続すると発表しました。その後の日銀総裁の会見においても、ゼロ金利解除の時期に関する示唆はまったくなかったため、USDJPYは買い戻しの動きが強まり、一時145円手前まで円安が進みました。その後、反落し144円を挟む展開が続いています。日銀総裁の国会での「年末にかけて一段とチャレンジングになる」との発言を市場は金融政策の転換と勝手に判断し円高が進んだことで、あえて政策変更を持ち出さなくても一定の役割を果たしたと考えているのではないかと思います。昨日、日銀は12時前に政策発表を行い、当初から変更なしの結論を前提として議論されたと思われます。昨日は2024年度政府予算案が提出され、このタイミングでの金融政策変更は予算案の前提条件が崩れるとの判断があり、政府からの要請があったのではないかと思われます。実際、政府予算案では、国債の利払い費の想定金利を2023年度の1.1%から17年ぶりに引き上げ1.9%としています。市中金利の上昇を反映した結果ですが、日銀のゼロ金利解除が発表されればさらなる市中金利の上昇を招き、予算案の前提条件にまで影響を与えることを懸念したのではないかとも判断しています。また、自民党の政治資金問題で政局が混乱している中で、金融政策の転換を回避してほしい政府当局の圧力があったのではないかとも邪推しています。どちらにせよ日銀の中央銀行としての独立性を疑問視せざるをえない状況にあると考えています。岸田政権は国民の信頼回復に向けて、企業に賃上げ圧力をかけ、春闘前に賃上げを発表する動きが強まれば、ゼロ金利解除の動きは早まるのではないかと思います。金融政策の変更は4月とのメインシナリオになっていますが、1月の可能性も依然として否定できないため、JPYの動きには警戒を怠らないようにしたいと思います。
通貨相関からは、昨日の円安の動きを受け、JPYは下位足では最弱通貨となりました。他のメジャー通貨は弱さが継続しており、マイナー通貨の堅調さも続いています。ファンダメンタルズを背景にすれば、JPYの弱さは一時的なものと判断しています。足元のJPYは方向感を失いつつあるため見送り、メジャー通貨の売りを軸に通貨選択をしたいと思います。
日足 : NZD>JPY>AUD>CAD>GBP>EUR>USD
4時間足 : NZD>AUD>CAD>USD>EUR>GBP>JPY
本日は、英国の消費者物価指数や米国の消費者信頼感指数に注目です。しかし、昨日の日銀の政策金利の発表で、年内の重要なイベントは終了したと考えています。日銀のゼロ金利解除は来年に持ち越されましたが、JPY売りの動きは想定外に小さいと考えています。来年は、日銀の金融引締めに対し他の地域・国の金融緩和の動きは既定路線であると考えるため、長期的な方向感に変化はないことを示していると思われます。ここからは、実質的なクリスマス休暇明けの27日まで、方向感の乏しい閑散な市場になると考えています。大きなトレンドを狙わず、小さな値幅を積み重ねるトレードをしていきたいと思います。