昨日、USDJPYは急落しました。日本時間未明には一時141円台まで円高が進み、その後反発し、現在は144円台で推移しています。前日の日銀副総裁の「金融緩和が出口を迎えた場合でも、良い結果につなげることは十分可能」との発言からゼロ金利解除は近いとの判断がされていたところに、日銀総裁が参院財政金融員会において政策運営に対する質問に対し、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言し、さらにその後首相官邸に訪問したことから、ゼロ金利解除が前倒しに進むとの判断が強まりました。欧米諸国・地域の金融政策は来年利下げ見通しが確実視されています。来週開催の米国のFOMCでは利上げ見送りは確実で、サプライズで利下げへの転換との見方も可能性は極めて低いものの一部にはあります。米国の労働環境から利下げの時期が前倒しとなれば、日銀の利上げタイミングを失う可能性があるため、日銀は金融政策の変更を早めたいのではないかと判断が強まっています。欧州ではインフレ鈍化が鮮明となり、来年の利下げの前倒しを見込んだEUR安につながっています。すでに0.25%利下げの6回分を織り込んだとの見方もあります。急激な円高の背景には日本と欧米の金融政策の方向性の違いによるものなので、円高方向への動きは持続するものと考えます。中長期的なトレンドの転換は間違いないと考えますが、目先の動きは過剰反応とも思えるため、ショートカバーには警戒したいと思います。
通貨相関からは、昨日の動きを受けてJPYの強さが継続し、その動きは上位足にまで波及してきました。USD・NZDともに強さは継続しており、その他の通貨の弱さは顕著となりました。通貨の強弱面からは、強弱が完全に二分化されていると思われます。強い通貨群の買い、弱い通貨群の売りの選択肢の幅は広がったことから、通貨選択のしやすい状況になってきました。
本日は、米国の雇用統計に注目です。今週、多くの労働統計で確認できている労働市場の需給ひっ迫緩和を、雇用統計でも確認することになるのかに注意したいと思います。また、日本の第3四半期GDPにも注目です。内容次第では、日銀の金融政策の方向性に修正を加えることになると思われるので注意しておきたいと思います。本日は、昨日のJPYの大きな動きの後だけに、慎重に臨んでいく必要があります。