今日の環境分析 2023年12月7日

 オーストラリアの第3四半期GDPは、前期比+0.2%と市場予想の+0.5%を下回りました。これを受けて、AUDの軟調な展開は継続しました。BOE金融安定報告書では地政学的な緊張と経済見通しをリスクと発表しました。その後のBOE総裁の会見では、インフレ見通しは不透明で、金利は現在の水準にとどまる必要があるとの発言がありました。ECB総裁の発言との金利見通しの違いが鮮明になりつつあります。ADP全米雇用報告は非農業部門雇用者数が前月比+10.3万人と市場予想の+12.8万人を下回りました。雇用と賃金の伸びは緩やかへと変化したと判断され、労働市場の需給ひっ迫は緩和されています。カナダの政策金利は、事前予想通り据え置きとなりました。景気減速からインフレ圧力が低下しているものの、追加利上げの可能性に含みを残しました。市場全般では、ボラティリティが低下し、小動きに推移しました。

 通貨相関からは、USD・JPYの強さ、EUR・GBP・AUDの弱さが継続しています。労働市場の需給逼迫緩和の動きから米国の長期金利は低下し、USDの弱さにつながっています。しかし、景気停滞懸念の強い英国や欧州との対比から、USDの優位性が目立つ結果になっています。USDの強さは相対的なものなので、長期的な持続性は乏しいと考えています。対する日本は来年前半に向けたゼロ金利解除の動きがでてきていることから、JPYの強さは持続すると考えています。こうした点から、クロス円通貨に注目していますが、収束を強めているため、発散の方向性には間違えないようにしたいと思います。また、ドルストレート通貨のトレンドに追随する動きを狙いたいと思います。

 本日は、米国の新規失業保険申請件数に注目です。明日の雇用統計の発表を前に、大きな動きは期待できませんが、他の労働統計とくらべ速報性の高い指標のため、労働市場の方向感に変化がないのかを確認しておきたいと思います。また、重要度は低いですが、オーストラリアと中国の貿易収支にも注目です。オーストラリアは鉄鉱石を中心とした資源で中国への依存度が高いため、昨日発表されたGDPの内容を裏付けるものか注意したいと思います。また、中国は景気停滞から回復の兆しがみられるものの、政府当局の内向きな方針が貿易の停滞を招いていないのか確認する必要があります。