今週から、米国は夏時間に入りました。
先週末は波乱にとんだ展開となりました。米国の雇用統計では、雇用者数の伸びは市場予想を大きく上回りましたが、失業率は上昇し平均賃金の伸びは鈍化しました。先週火曜日のFRB議長の議会証言で利上げの再加速の思惑が高まりましたが、雇用統計の内容はそれを後押しするほどのものにはなりませんでした。
米国シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、金融危機を予兆しかねない状況になり、USD売りが加速しました。今週発表の消費者物価指数に注目が高いですが、SVBの破綻を受けて金融システム崩壊懸念から、金融政策は雇用環境や物価動向だけを要因として判断するのは困難になり、利上げ観測は後退してきています。
通貨相関からは、週末の動きを受けて、下位足でUSDの弱さが際立ちました。メジャー通貨のなかでEUR・GBPの強さは継続しています。USDの弱さを受けてJPYの強さが目立つようになってきました。SVBの破綻を受けて米国の金融政策引締めのゴールが近づいたと思われ、金融引き締めを継続している欧州・英国や、これから新たな日銀体制の中で金融引締めの可能性の高い日本は、明らかに米国との金利上昇圧力の違いが出てきています。メジャー通貨の中からUSDは離脱したと思いますがEUR・GBP・JPYの強さは継続しており、金融引締めゴールの見えてきているマイナー通貨の弱さとの組み合わせに注目しています。
今週は、火曜日に米国の消費者物価指数と英国の失業率、水曜日に米国の小売売上高と生産者物価指数、木曜日にECBの政策金利の発表があります。ともにきわめて重要な経済指標となるため、発表に向けた思惑的な動きが強まるものと思われます。特に、米国の消費者物価指数は、内容次第で利上げ幅を拡大させる可能性があるものの、米国FRB高官は21・22日のFOMCを前に発言を禁止されているブラックアウト期間に入ったため、SVB破綻が金融政策の方向性にどのように影響を与えるのか判断するのが難しくなってきました。
木曜日のECBの政策金利にも注目です。利上げ継続方針とみられており、現時点の金融引き締め姿勢は米国以上に強いため、一段とEURの強さが目立ってくるものと思われます。
本日は、重要度の高い経済指標の発表はありません。