今日の環境分析 2024年1月15日

 先週末金曜日、米国の12月の生産者物価指数が発表され、前月比-0.1%と市場予想の+0.1%下回りました。前日、市場予想を上回った消費者物価指数とは逆の動きになりました。これを受けて、米国の政策金利の早期利下げ観測が再び強まる結果となりました。USDJPYは前日の消費者物価指数の時と同様に、大きく上下する動きとなりましたが、方向感の伴った動きにはつながっていません。市場全般に、年初からの動きに対する調整色のある展開となり、小動きに推移しました。

 通貨相関からは、GBPの強さ、JPYの弱さが継続しています。JPYは日足・4時間足ともに最弱通貨に位置していますが、年初からの円安の動きを反映したものです。足元のクロス円通貨ペアの動きをみると、積極的に円安方向に狙うのは難しいように思われます。下位足ではクロス円通貨の収束の動きが強まっていることから、次の発散の方向性に注視したいと思います。EUR・GBPともに強い通貨群に位置していますが、EURGBPの動きをみると、GBP>EURの関係が明確になっています。AUDNZDでもNZD>AUDの関係も強まっています。こうした近隣通貨の強弱に注意したいと思います。上位足から下位足まで強弱感が揃っている通貨が見られないことから、様子見をしたいと思います。

 強い通貨:GBP・EUR・NZD
 弱い通貨:JPY・CAD・AUD

 日足   : NZD>CAD>USD>GBP>AUD>EUR>JPY
 4時間足 : GBP>EUR>NZD>USD>AUD>CAD>JPY

 今週は、火曜日に英国の失業率・カナダの消費者物価指数、水曜日に中国のGDP・英国の消費者物価指数・米国の小売売上高、木曜日にオーストラリアの失業率・12月開催分のECB理事会議事要旨の公表・米国の新規失業保険申請件数、金曜日に日本の消費者物価指数・英国とカナダの小売売上高・米国のミシガン大学消費者信頼感指数に注目です。
 台湾総統選は対中強硬路線の与党の勝利となり、中国の台湾への強硬姿勢に変化が生じるのか注目しています。中国経済の停滞が懸念されるなか水曜日に発表されるGDPの内容次第では、中国経済の再建に注力できる契機になるのではと甘い期待をしています。
 今週末からFOMCを前にしたブラックアウト期間に入るため、週内にFRB高官の発言が多数予定されています。前回のFOMC前のブラックアウト期間にはハト派的な意見がクローズアップされドル安の動きが強まりましたが、実際の議事録では想定以上にハト派的な動きではありませんでした。このため、今回のブラックアウト期間では過剰な反応はしないと思いますが、利下げの時期を示唆する内容には反応されると思うので、警戒したいと思います。
 本日は、主要な経済指標の発表はありません。米国が祝日で金融市場は休場となるため米国時間の流動性の低下には注意したいと思います。

今日の環境分析 2024年1月12日

 昨日発表された米国の12月の消費者物価指数は、前年同月比で+3.4%と市場予想の+3.2%を上回り、早期利下げが後退したものの、インフレ抑制効果が効いていると判断されました。この発表を受けてUSDJPYは1か月ぶりとなる146円台を一時つけましたが、中長期的には景気減速の方向性には変化がないとの見方が強まり、145円台前半まで戻しました。USDJPY146円は、昨年11月高値から12月安値までの下落の半値戻し水準となるため、いったんは戻しを確認したものと思われます。昨日から、ビットコインのETFが市場取引を開始しました。投資家の投資対象が増えたことで、ビットコイン市場の裾野拡大につながると考えられます。かつての金のETF取引の開始時のように、多くの新規資金の参入が想定され、市場全般にリスクオンの動きが強まることが想定されます。ちなみに個人的には、新たな商品のETF開始は価格上昇、先物取引開始は価格下落との見解を経験から判断しています。

 通貨相関からは、GBPの強さ、JPYの弱さが継続しています。日足・4時間足ともに最強・最弱通貨になっています。JPYを除くメジャー通貨の堅調さ、JPYとマイナー通貨の弱さが確認できることから、こうした通貨群の組み合わせに注目したいと思います。個々の通貨ペアでみると上値や下値の抵抗帯に位置していることから、明確な方向感を確認してからでも遅くはないと考えています。

 強い通貨:GBP・EUR
 弱い通貨:AUD・JPY

 日足   : GBP>CAD・NZD>EUR>AUD>USD>JPY
 4時間足 : GBP>EUR>USD>CAD>NZD>AUD>JPY

 本日は、米国の生産者物価指数に注目です。昨日の消費者物価指数でインフレ抑制を確認されていることから、次の確認事項は米国の景気減退懸念があるかになります。生産者物価指数は米国企業活動の中での動向を判断することができるので、米国経済に減速への兆候が見られるのかに注意したいと思います。そのほか、英国のGDPにも注目しています。足元のGBPの堅調さを裏付ける内容になるのかに注意したいと思います。なお、週明け月曜日は米国は祝日のため金融市場は休場となります。週末でもあることから、ポジション調整の動きには警戒したいと思います。

今日の環境分析 2024年1月11日

 昨日は、クロス円通貨の上昇が目立ちました。今年から始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)の活況の中、外貨資産への資金流入が強まっています。三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS(イーマクシス)Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)の9日の資金流入額は1000億円を超えた模様で、昨年12月の月間流入額に相当する資金が1日で流入したことになります。本日の米国の消費者物価指数の発表を前に様子見を決め込んでいた市場にとって、こうした個人投資家の外貨資産への資金流入はクロス円通貨の上昇に寄与することになったと思われます。実際、昨日はクロス円通貨が上昇上位を占めることになりました。

 通貨相関からも、その傾向を判断することができます。JPYの弱さが顕著となり、上記投資信託の投資対象となるメジャー通貨の強さが目立っています。本日の米国の消費者物価指数の発表を前に、ドルストレートは動きにくい展開にあります。メジャー通貨はともに強い状況にあることから、EUR・GBP対比での強さを消費者物価指数で判断できるようだと、発散の動きを強めることになると思います。JPYを含むメジャー通貨の動きに注目しています。

 強い通貨:EUR・GBP・USD
 弱い通貨:AUD・NZD・JPY

 日足   : AUD>EUR>CAD>NZD・GBP>USD>JPY
 4時間足 : EUR>GBP>USD>CAD>AUD>NZD>JPY

 本日発表される米国の消費者物価指数が今週最大の注目材料です。市場予想を上振れるとUSDの強さが再び強まることが想定されます。このところの米国の経済指標では早期利下げを容認できる材料に乏しいことから、米国金利の高止まりは続くと思われます。一方で、日本においては能登半島地震を受けて、早期の金融引締めは難しい状況になってきています。加えて、冒頭に述べたような新NISAにおける外貨資産への資金流入の動きは一段と高まることが想定されることから、継続的な円売り傾向になるものと思われます。とはいいいながら、金融政策の方向性は日米間で逆方向にあることは事実なため、長期的には方向感のつかみにくい状況にあると思われます。日経平均株価がバブル後の最高値を更新していることで、日本株式の注目度が内外で高まってきており、円高方向にも注意しておきたいと思います。

今日の環境分析 2024年1月10日

 昨日、東京都区部の消費者物価指数が発表され、2023年平均は前年比+3.0%と41年ぶりの伸び率を記録しました。市場への影響はほとんどなく、全般に小動きに推移しました。ボラティリティも低水準になっており、方向感のない展開が続いています。明日の米国の消費者物価指数の発表待ちと思われるため、レンジ内の動きが継続しています。しかし、全般に収束の動きを強めていることから、明日の消費者物価指数の発表を契機に大きく動き始めることが想定されます。

 通貨相関からは、再びNZDの強さが戻ってきました。対するAUDはNZDの戻りの反動から目先的には軟調な展開になっています。JPYの強さが再び戻り傾向がみられる一方で、EURの弱さがみられます。NZDを除き下位足と上位足の方向性が揃っていないことから、下位足の動きは調整と判断して短期的な値動きと限定していると考えています。様子見で臨みたい局面ですが、GBP・JPY・USDの動きに注目しています。

 強い通貨:NZD・GBP
 弱い通貨:USD・CAD

 日足   : NZD>AUD>EUR>CAD>GBP>JPY>USD
 4時間足 : NZD>GBP>JPY>USD>EUR>CAD>AUD

 本日は、オーストラリアの消費者物価指数と英国BOE総裁の発言に注目です。ともにサプライズは想定しづらい状況ですが、収束を強めている局面ではちょっとした材料でも過剰反応することがあるので警戒しておきたいと思います。しかし、明日に米国の消費者物価指数の発表を控えていることから、大きな動きにはつながらないと想定しています。明日の消費者物価指数の発表を前に、方向感の模索が続くものと思われます。

今日の環境分析 2024年1月9日

 昨日は、先週末の米国の雇用統計やISM非製造業景況指数の好悪材料を受けて、欧州市場でどのような反応をするのか注目していましたが、大きな動きは見られませんでした。市場全般にボラティリティが低下し、小動きに推移しました。年初からの反動の調整の動きが続いている模様です。方向感のつかめない展開となっており、木曜日に発表される米国の消費者物価指数の結果を待っているかのようです。

 通貨相関からは、JPYの弱さが継続している一方、EUR・GBPの強さが目立つ展開になっています。EUR・GBPに関しては昨年来の調整の反動の動きになっており、上位足に波及してくるのかに注目しています。ドルストレート通貨に続き、クロス円通貨も収束の動きを強めていることから、この先の発散のきっかけを待ちたいと思います。短期的には、EUR・GBPに注目しています。

 強い通貨:NZD・GBP
 弱い通貨:USD・JPY

 日足   : NZD>AUD>EUR>CAD>GBP>JPY>USD
 4時間足 : GBP>EUR>NZD>CAD>USD>AUD>JPY

 本日は、東京都区部の消費者物価指数やオーストラリアの小売売上高に注目です。ともに午前中に発表されるため、日本時間からJPYやAUD関連通貨の値動きには注意しておきたいと思います。特に、東京都区部の消費者物価指数に注目しています。今回の能登半島の災害を受けて日本の金融政策変更時期の前倒しが遠のいていますが、消費者物価指数の内容次第ではインフレ警戒から再び金融政策変更時期に注目される可能性を低いながらも想定しています。

今日の環境分析 2024年1月8日

 週末金曜日に発表された米国の12月の雇用統計では、非農業者部門の就業者数が前月比で+21.6万人と市場予想の+17.0万人を大きく上回りました。前日のADP全米雇用報告でも市場予想を大きく上回る結果だったので、ある程度の上振れが想定済だったようで、USD買いへの反応は限定的でした。その後に発表されたISM非製造業景況指数は市場予想を下回り、USD売りにつながりました。終わってみれば、前日比変わらずの144円台半ばの水準となりました。年初からのUSD買い戻しの動きは一服したように思われます。また、ユーロ圏の12月の消費者物価指数は、前年同月比で+2.9%と市場予想の+3.0%下回ったものの、前月の+2.4%から伸びが加速しました。これを受けてECBによる早期利下げ観測は遠のく状況を強めることになると思われます。市場全般では、年初から大きく動いてきたため、その反動の調整の動きとなりました。

 通貨相関からは、GBPの強さが目立つ展開となり、なかでも対EURでの強さが目立っています。USDの堅調な展開も続いています。対して、年初から続くJPYの弱さは日足にまで波及してきました。昨年末のJPYが強い展開の中で、JPY売りポジションが圧縮されたことで、年明けから新たにJPY売りのポジションを積み重ねているようです。USDの強さに注目したいところですが、個別通貨をみるとドルストレート通貨は収束の動きを強めているため、発散の動きを見せるまでは方向性の判断が難しくなってきました。年初の動きが一巡したと考えられるため、次の動きを待ちたいと思います。

 強い通貨:USD・GBP
 弱い通貨:AUD・JPY

 日足   : CAD>AUD>EUR>GBP・NZD>USD>JPY
 4時間足 : GBP>USD>EUR>CAD>NZD>AUD>JPY

 今週は、木曜日の米国の消費者物価指数が最大の注目材料となります。米国の労働環境が好調になっているため平均賃金が上がり、物価の上昇につながっています。消費者物価指数にどの程度反映してくるのか、落ち着きを確認できるのか、今後の金融政策へ大きな影響を与えると考えるため、警戒しておきたいと思います。そのほか、火曜日の東京都区部の消費者物価指数・オーストラリアの小売売上高、水曜日のオーストラリアの消費者物価指数・英国BOE総裁の発言、金曜日の米国の生産者物価指数にも注目です。
 本日は、日本は祝日で金融市場は休場のため、日本時間の流動性低下に注意したいと思います。欧州時間に入って、週末の雇用統計やISMの内容をどのように判断するのかに注目したいと思います。

今日の環境分析 2024年1月5日

 昨日発表された12月のADP全米雇用報告では、非農業部門の雇用者数が市場予想の11.5万人を大きく上回る16.4万人となりました。雇用環境の好調を確認することとなり、インフレ鎮静化のなかで雇用動向が金融政策の焦点となってきました。こうした状況から米国金利は上昇し、USDJPYは2週間ぶりの144円台に乗ってきました。FOMCの議事録で早期利下げ期待が遠のき、日本の地震による影響から早期の金融政策の転換期待の剥落から、日米金利差を背景とするUSD買いの動きにつながっていると思われます。

 通貨相関からは、下位足でUSDの強さが目立つ展開になっています。前日同様、日足と4時間足の強弱感が逆になっています。4時間足の動きが日足に波及してくるのかに注目したいと思います。クロス円通貨は日足のミドルバンドを上抜けてきたことで、戻りの動きが強まっています。昨日の朝時点でクロス円通貨はミドルバンドを挟んだ動きでしたが、現時点で同様の動きにあると思われるのがドルストレート通貨です。日足のミドル抜けの動きに注意したいと思います。短期的には、戻り基調の強いUSD・GBPを軸とした通貨選択をしたいと考えています。

 強い通貨:USD・GBP
 弱い通貨:AUD・NZD

 日足   : AUD>JPY>CAD>EUR>NZD・GBP>USD
 4時間足 : USD>GBP>CAD>EUR>NZD>AUD>JPY


 本日は、米国の雇用統計が最大の注目材料になります。市場予想では、雇用者数は前月の+19.9万人を下回る+17.0万人と想定されています。昨日のADP全米雇用報告が予想外に好調だったことで、雇用統計においてもサプライズが発生する可能性があります。その際にはUSD高の動きが加速することが想定されますが、限定的と考えています。年内の利下げへの転換が確実視されている中では、上値を追うことはむずかしいと考えています。145~146円付近からの戻り売りの動きに警戒しておきたいと思います。また、ISM非製造業景況指数や欧州圏の消費者物価指数、カナダの失業率にも注目です。週明け月曜日は日本は祝日で金融市場は休場となります。このため、本日の雇用統計の発表を前にJPYはポジション調整の動きが強まると思われるため、ボラティリティの高まりに注意したいと思います。

今日の環境分析 2024年1月4日

 本日未明に発表されたFOMCの議事録では、早期の利下げに慎重な姿勢にあることを確認しました。米国の12月のISM製造業景況指数は前月比で+0.7の47.4と市場予想の47.1を上回ったものの、14か月連続で景気の分岐点とされる50割れとなりました。ISM製造業景況指数は300社以上の製造業の購買・供給管理責任者にアンケート調査を行い、各企業の景況感を集計したものです。景気先行指数として重要視されていますが、米国金融当局の見解との相違を感じる結果となりました。当局は景気停滞懸念より、高止まりするインフレ抑制に重点を置いているようです。今週に集中する労働統計の内容からインフレ抑制を確認できれば、再び、早期利下げの可能性が高まることも想定されます。市場全般では、クロス円通貨の上昇が目立ちました。

 通貨相関からは、米国金利の上昇を受けてUSDの強さが高まりました。これまで堅調だったJPY・NZDが反落するなど、日足と4時間足では強弱感が逆になっています。下位足の動きが調整にとどまるのか、反転の動きになるのか注目したいと思います。各通貨ペアは日足のミドルバンドを挟む展開にあり、買いと売りのゾーンを模索しているように思われます。方向感が定まるまでは慎重に臨む必要があると考えています。目先的にはファンダメンタルズの裏付けのあるUSDの買いやEURの売りを軸に通貨選択をしたいと思います。

 強い通貨:USD・GBP・JPY
 弱い通貨:EUR・AUD・NZD

 日足   : JPY>AUD>NZD>CAD>EUR>GBP>USD
 4時間足 : USD>GBP>CAD>JPY>EUR>NZD>AUD

 本日は、ADP全米雇用報告と新規失業保険申請件数に注目です。大きなサプライズは想定しづらいですが、明日の雇用統計を前に労働関連指標には注意したいと思います。本日から日本も市場に復帰します。日本時間から動く可能性もあるので、クロス円通貨の動きには警戒したいと思います。

今日の環境分析 2024年1月3日

 昨日は、一部にポジション調整の動きがみられるなど、方向感のつかみにくい展開が続いています。その中で、米国金利の上昇を背景としたUSDの上昇が目立ちました。今回の地震規模の大きさが判明するにつれて日本経済への影響懸念から、利上げ時期が遅れるのではないかとの見解が強まりました。これを受けてUSDJPYは上昇しました。しかし、こうした動きは短期的な動きに過ぎないと考えています。今週の米国の重要な経済指標の内容に注目度が高まっています。

 通貨相関からは、JPYの強さが継続しています。これまで堅調さを維持してきたNZDが反落し、対するAUDの優位性が高まってきました。USDは米国金利の上昇を受けて堅調な展開となっており、JPYを除くメジャー通貨対比の強さが顕著になっています。JPY・USDの買い、EUR・GBPの売りを軸にした通貨選択をしたいと思います。

 強い通貨:JPY・AUD
 弱い通貨:EUR・GBP

 日足   : JPY>AUD>CAD>NZD>EUR>USD>GBP
 4時間足 : JPY>USD>CAD>AUD>NZD>GBP>EUR

 本日は、米国のISM製造業景況指数とFOMCの議事録公表に注目です。ISM製造業景況指数は景気の分岐点とされる50割れが続いており、その水準は米国の金融政策に影響を及ぼすと思われるため注視しています。また、FOMCの議事録では利下げ開始時期に関する議論があったのか、その内容に注目しています。内容次第では、昨日上昇した米国金利の水準訂正につながる可能性があるため、警戒したいと思います。本日も日本は休場のため、日本時間はAUD関連通貨の動向に注意したいと思います。

今日の環境分析 2024年1月2日

あけまして、おめでとうございます。
本年も、よろしくお願いします。

昨日は、令和6年能登半島地震がありました。
このたびの未曾有の災害に際し被災されたみなさまに、心からお見舞い申し上げます。


 年末最終日となった先週金曜日は、USDJPYが一時140円台に入るなど円高の動きを強めました。年末最終日ということもあり、ポジション調整とみられる動きで上下に振れる展開はあったものの、小動きに推移しました。全般に方向感のつかみにくい状況の中で、JPYの強さだけが目立つ展開となりました。多くの国が金融引き締めの最終局面にある中、日本のみが金融引き締めへと転換する状況から、JPY買いの動きを中長期的に強めてきているものと思われます。

 通貨相関からもJPYの強さを確認することができます。メジャー通貨は反転の動きが見られましたが、期末の修正の動きと判断しています。JPYの買いを軸にメジャー通貨の売りのタイミングを図っていきたいと思います。

 強い通貨:JPY・NZD
 弱い通貨:USD・GBP

 日足   : JPY>AUD>CAD>NZD>EUR>GBP>USD
 4時間足 : JPY>NZD>GBP>USD・EUR・AUD>CAD


 今週は、年初となりますが、重要な経済指標の発表が続きます。水曜日に米国ISM製造業景況指数・FOMC議事録公表、木曜日に米国ADP全米雇用報告、金曜日にEU消費者物価指数・カナダ失業率・米国の雇用統計とISM非製造業景況指数に注目です。なかでも水曜日(日本時間木曜日未明)のFOMCの議事録公表に注目です。前回のFOMCでは、3会合連続となる政策金利の据え置きが決定され、総裁会見では利下げを「議論した」と明言しており、利下げ開始時期に注目が集まります。利下げ開始が近いとの観測が広がる中、タイミングを見極めるには好調な労働統計に注目が高まっています。週末の雇用統計に向けて数々の労働統計が発表されることから、早期の利下げ開始を意識したUSD売りの動きが強まるものと思われます。
 また、過去の震災時では、日本企業のリパトリエーション(本国への資金環流)が行われました。震災への対応などから円需要が高まる可能性もあり、短期的に円高に振れる可能性があります。中期的には、今回の災害に伴う企業活動への影響を見極める必要があり、インバウンド需要の低下も想定されると、円安に転じる可能性も否定できません。このため、短期的な円高の到達点を意識した対応が必要になると思われます。
(付記:レパトリエーションはレパトリと省略されます。日本企業の年度末になる3月末には輸出企業中心にレパトリによる円高の動きが強まることが多くなります。)
 本日は、日本・ニュージーランド・スイスが祝日のため金融市場が休場となります。日本時間の流動性が低下すると思われます。現時点では懸念していたスプレッドの拡大は、通常の週初と同程度であることから、特異な値動きにはなっていない状況です。名目的にも新年度に入り新たな投資資金の流入が期待されることから、欧州時間からの値動きには警戒したいと思います。方向感の確認を待ちたいと考えています。