「強い上昇トレンドに乗れたけれど、どこで利確していいかわからない」 「過去の最高値を更新中で、チャートの左側に目安となる水平線がない」
FXでトレンドフォローをしていると、このような「未知の領域(青天井)」に突入することがあります。利益を伸ばしたいけれど、反転下落も怖い。かといって、目標がないため早すぎる利確(チキン利食い)をしてしまい、その後の爆上げを指をくわえて見送った経験はありませんか?
そんな時に最強の武器となるのが、「ピボット(Pivot Points)」です。
今回は、テクニカル分析が難しい「最高値更新局面」において、ピボットを使って冷静かつ合理的に利益確定を行う方法を解説します。
なぜ最高値更新中に「ピボット」なのか?
通常のライントレードでは、過去の高値や安値を結んで水平線を引きます。しかし、過去の最高値を更新している局面では、参考にできる「過去の山(抵抗)」が存在しません。
そこでピボットの出番です。ピボットがこの場面で機能する理由は主に2つあります。
1. 「未来」にラインを引ける先行指標
移動平均線などの遅行指標とは異なり、ピボットは前日の価格データ(高値・安値・終値)を元に計算式で算出されます。そのため、まだ価格が到達していない空白地帯にあらかじめレジスタンスライン(抵抗線)を表示させることができます。日単位だけでなく、週単位、月単位でピボットの計算が可能になります。

2. 機関投資家の「手仕舞い」の目安
過去の節目がない場面では、AIや機関投資家のアルゴリズムも「何を目標にするか」に困ります。その際、世界共通の計算式で算出されるピボットのライン(特にR2やR3)が、機械的な決済目標として機能しやすい傾向があります。
※ここでは買いポジションを例にして説明しますが、売りポジションの場合も同様です。以下のR1・R2・R3をS1・S2・S3に読み替えてください。
利確ターゲット:R1・R2・R3の使い分け(買いポジション)
ピボットには中心線(PP)の上に、R1、R2、R3という3本のレジスタンスラインが表示されます。 強い上昇トレンド(最高値更新中)において、これらをどう使い分けるかが重要です。
R1(第1レジスタンス):レンジの上限
強いトレンドが発生して最高値を更新している場合、R1はあっさりと上抜けていくことが多いです。
- 戦略: ここですぐに利確するのは「早すぎる」可能性が高いです。R1を明確に超えられるかどうかの「勢い診断」として使います。
R2(第2レジスタンス):本命の利確目標
ここが最も重要なラインです。統計的にも、1日の値幅がR2付近まで伸びると一旦調整が入る確率が高くなります。
- 戦略: 「分割決済」の推奨ポイントです。保有ポジションの半分〜7割をここで利確し、利益を確保します。残りのポジションでさらなる伸びを狙います。
R3(第3レジスタンス):過熱(行き過ぎ)
ここまで到達するのは、よほど強い材料が出た場合やパニック的な買いが入った場合です。「買われすぎ(オーバーシュート)」と判断される水準です。
- 戦略: 「全決済」のポイントです。R3を大きく超えてその日のうちに価格が定着することは稀です。欲張らずにここでトレードを完了させましょう。
実践:最高値圏でのPivot活用例
実際に最高値を更新している局面での、具体的な立ち回り手順例です。
- ブレイク確認
価格が過去の最高値を更新し、かつピボットの中心線(PP)より上で推移していることを確認します。 - R1突破・ホールド
価格がR1を勢いよく上抜けたら、トレンド継続と判断しポジションをホールドします。この時、損切りライン(ストップロス)を「建値」や「R1の少し下」に引き上げ、リスクをゼロにします。 - R2での分割利確
価格がR2に到達、またはR2の手前でローソク足の上ヒゲなどが出始めたら、ポジションの半分を利確します。これで、このトレードは「勝ち」で確定します。 - R3または反転で全決済
残りのポジションはR3到達を待ちます。R3にタッチしたら全決済。もしくは、R3に届かずに失速して下がってきた場合は、確保しておいた利益を守るために撤退します。

注意点:設定と心構え
1. ニューヨーククローズ(NY Close)設定を使う
ピボットは「前日の終値」を計算に使います。FX市場において世界中のトレーダーが基準にしているのは「ニューヨーク市場のクローズ(日本時間 午前6:00または7:00)」です。 チャートソフトの設定が日本時間(0:00区切り)になっていると、全く違う場所にライン引かれてしまい機能しません。必ずNYクローズ設定になっているか確認しましょう。
2. 日足だけでなく週足・月足にも注目する
ピボットは、デイトレードにおいては日足のデータを利用するのが一般的です。週足・月足ベースでもピボットを計算することが可能です。週足や月足のピボットも利確に活用すると、よりトレードの幅が広がります。
3. 盲信は禁物
ピボットはあくまで統計的な目安です。「R2にタッチしたら必ず下がる」わけではありません。重要な経済指標の発表時などは、全てのラインを無視して突き抜けることもあります。必ずストップロス(逆指値)を併用して資金を守ってください。
まとめ
「どこまで上がるかわからない」という恐怖と期待が入り混じる最高値更新局面。 そんな時、ピボットを表示させるだけで「今日はR2まで伸びる余地がある」「R3まで来たからそろそろ手仕舞おう」といった客観的なシナリオを持つことができます。
「見えない天井」を可視化するピボットを活用して、根拠のある利確(エグジット)を目指してみてください。

上記チャートで使用しているMark’s Tradeのオリジナルインジケーターのピボット(MT4専用)は、以下からダウンロードしてご利用ください。このインジケーターでは、キーボードの「P」を押すと「表示/非表示」を切り替えることができます。
