プロは必ずしもプロじゃない

プロの投資家というとどんな人を思い浮かべますか?
ウォーレンバフェット、ピーターリンチ、ジムロジャースなど、海外には有名な投資家がたくさんいます。
日本では、個人投資家の中にも優秀な人はたくさんいますが、機関投資家のなかにはほとんど有名な人はいません。
なぜかというと、優秀なファンドマネージャーやトレーダーはほとんど表に出てこないからです。
もし表に出てきたら、その人たちはピークを過ぎたと考えて間違いないと思います。
これは、ストラテジスト(相場見通しを語っている人)やアナリスト(個別分析をしている人)も同様です。
普通に考えてください。
プロは顧客から資産を預かり運用し、報酬を得ています。
顧客以外のマスコミなどで情報提供しているのは、知名度を高めるためです。
いかに所属する会社に資産を呼び込めるか、その個人の市場価値を高めるかが重要になっています。
もっと身近に、証券会社や銀行で投資商品を販売している人を見てください。
彼ら彼女らは、投資商品に対して勉強しますが、自分で投資している場合はほとんどありません。
なぜなら魅力ある商品じゃないからです。
また、ファンドマネージャーやトレーダーも同様です。
多くの金融機関は、非常にコンプライアンスが厳しく、自己の資産運用に制限がかかります。
このため、一部の金融関係者は自己の資産運用に積極的になれません。
実際、以前、私が所属していた外資系資産運用会社では、3か月毎に同居親族を含めた所有有価証券の報告義務がありました。
株式、債券、投資信託など、自社の商品も含めて報告しなければならず、その手間は大変なものでした。
少しでも報告期限に遅れると始末書の提出などという、理不尽な罰則規定までありました。
同社ではFXは禁止されていたので、当時の私にはまったく無縁の存在でした。
友人に金融庁の検査官がいました。
証券会社や運用会社などの金融機関に定期的に検査に入り、健全経営されているか確認しています。
検査項目の中には、社員個人の資産運用の管理状況まであります。
ある証券会社では、社長以下多くの社員が積極的に資産運用していたそうです。
しかし、その大部分が損失を抱えており、勝ち組の投資家は一人もいませんでした。
プロは、多くの資産を預かり運用しますが、ルール違反をしない限り、損失をだしても個人の責任は問われません。
億円単位の損失を出しても、せいぜいボーナスが減額されるくらいのものです。
しかし、個人投資家は損失は自分の懐がいたみます。
損失の痛みを誰よりも感じることができる個人投資家こそ、資産運用のプロといえるかもしれません。

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